しかし極めつけは、乳製品に絡むニュージーランドの切実な要求です。次の記事をお読みください。(8月22日 23:50朝日新聞デジタル)
NZ、TPP交渉で強硬姿勢 乳製品市場の急変が背景に
「ニュージーランドの酪農業界はいま最悪の状態だ。TPP交渉で政府が妥協するなど許されない」と話すアンドリュー・ホガードさん=ニュージーランド北部キウイティア、郷富佐子撮影
大詰めを迎えている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、ニュージーランド(NZ)が攻勢に出ている。7月末の閣僚会合では、日本などに乳製品の輸入拡大を要求。強硬姿勢の背景には、この数カ月で急変した世界の乳製品市場に国内の酪農家が悲鳴を上げていることがある。
■乳価が2年で半額以下に 酪農家は悲鳴
NZの酪農界に8月上旬、衝撃的な知らせが走った。国内生乳シェアが9割近い乳業大手フォンテラが、来年度の生産者乳価格の見通しを「乳固形分1キロ当たり3・85NZドル(約316円)」と発表。史上最高を記録した2014年度の8・4NZドル(約690円)からわずか2年で半額以下への急落に、国内の酪農家たちは頭を抱える。
「下落のうわさは7月からあった。せめて4月にわかっていたら対処できたが、どうしようもない」
首都ウェリントンから約160キロ北のキウイティア地区の広大な農地で、乳牛約550頭を飼うアンドリュー・ホガードさん(40)は暗い表情で話した。8月は出産ラッシュで50頭近く生まれた日もあったが、「コストカットのために頭数を減らして乗り切るしかない」。子牛を肉牛用に回すなどして、520頭前後まで減らす予定だという。
ニュージーランドはいうまでもなく酪農が主産業ですが、その輸出依存度は相当高いものと思われます。それが中国の在庫過剰と、欧米の経済制裁に対抗するロシアの輸入制限によって、2013年度から2014年度にかけて、なんと23%のマイナスを経験しました。そこで当然、TPP交渉に尻を持ち込むことになるわけです。もちろん酪農の弱い日本としては、これを安易に受け入れるわけにはいきませんが。
これらの事情をよく観察しますと、ことほど左様に、TPPなるものが自由貿易によって各国の発展を促進しようなどというきれいごとの代物ではなく、その交渉現場においては、ただそれぞれの国の国益(エゴ)を守るべく必死のガチンコ勝負の場でしかないことがお分かりいただけると思います。つまりは経済戦争なのです。むろんその仕掛け人はアメリカ(の金融業界、投資家、富裕層)です。
最後に登場した日本はアメリカに次ぐ大国として、他の中小国からアメリカへの抵抗を期待されていたとのことですが、むしろ便乗派であることがわかって失望が広がっているとの情報もあります。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。