集団的自衛権行使容認の3つのウソ

次に、「朝鮮半島有事の際に日本はアメリカが戦っているのを放っておいて良いのか?!だから集団的自衛権は必要なんだ!!」という主張について。これも全くバカバカしい話で、仮に朝鮮半島で武力衝突が発生し、アメリカが参戦した場合、当然アメリカの敵国からすれば、日本の米軍基地も攻撃対象となるため、日本は当然自国の防衛措置を取らざるを得ません。ですので、自国の防衛措置である限り、それは個別的自衛権であり、やはり集団的自衛権とは関係ないワケです。ちなみに、このような状況を想定し1999年には周辺事態法という法律を可決させています。この有事法制は個別的自衛権を根拠としており、それまでの政府解釈つまり「個別的自衛権は合憲だが、集団的自衛権は違憲である」という解釈の範囲内で周辺事態に対応できるよう法的な整備が出来ているワケです。このようなことを考えると何故今更、「半島有事のために集団的自衛権の行使容認を!!」などと言っているのか全く理解に苦しみます。

最後に、「日本人輸送中の米艦攻撃の対処のための集団的自衛権」というウソについてです。

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これは、もうあまりにもツッコミどころ満載で、どこからツッコミを入れていいのか迷ってしまうのですが、まずひとつは、「日本人輸送中の米艦攻撃の対処」は邦人保護ですので、当然ながら個別的自衛権の範囲内です。ですので、まず前提からして、この事例を用いて集団的自衛権の必要性を説くこと自体が間違っています。

ただし、どうしてもこのような事例を集団的自衛権なのだと説明するには、「どこからどう見ても、普通の親子にしか見えないこの親子が、実は米軍の戦闘員だった」というケースが可能性としてあり得ます。この場合は、米軍の戦闘員の保護、救出のために武力行使を行うことは個別的自衛権の範囲を超えますので、集団的自衛権となります。ですので、皆さんは、今後安倍首相がこの日本人親子を乗せたアメリカ艦船で集団的自衛権の説明をするたびに、「この親子は普通の日本人家族に見えるけど、実は米軍の戦闘員なのだ」と解釈する必要があります。もちろん、このような事前知識を持っている人は極々少数だとおもいますので、是非とも安倍首相にはこのボードを出す際には、「※注 なお、この日本人親子は米軍の戦闘員です」という注意書きを付けてほしいと思います。
今回と前回記事で、集団的自衛権に関していくつか論点の整理と解説をさせていただきましたが、この集団的自衛権の議論は非常に様々な論点は存在するため、今後も解説を続けていきたいと思います。

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西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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コメント

    • タバサ
    • 2015年 9月 03日

    最近ロシアとの領土問題の話を見かけるようになってきたように感じるのですが、
    もし今後関係悪化になった場合、その部分から見た場合でも
    集団的自衛権は不要なのでしょうか?
    ロシアをケースにした場合の話も教えていただけたら幸いです。

    • たお
    • 2015年 9月 05日

    この投稿主の投稿は初歩の初歩の議論すら理解していないと思うのは
    私だけでしょうか?

    今回の安保法制の集団的自衛権の議論は限定的集団的自衛権の議論です。

    ①アメリカを攻撃する国と戦う法案では無い。
    ②北朝鮮との有事の際は、以前から周辺事態法で対処可能だとの認識で
    議論しているので、この問題を嘘と言うのは投稿者の理解不足。
    ③個別か集団かの問題は国際法上、集団的自衛権だと見られる行為に対して、
    個別的自衛権だと解釈するのは問題だという前提で議論されている訳で、
    それが個別的自衛権に当たるのかどうかは問題とされては居ない。

    要は今されている議論は形式がされているに過ぎないのですが
    この投稿者は現状の議論すら理解していない訳です。

    実際は殆どが個別的自衛権の問題ですし、現在議論されている
    安保法制の議論では集団的自衛権は実質行使出来ない訳です。

    2chかどこかで賛成派が主張している間違った議論を否定するのも結構ですが、
    現在なされている議論すら理解していないという意味で
    投稿者は何を主張したいのか?

      • SSK
      • 2015年 9月 08日

      反対派で声高に叫んでいる人の多くが、前提や現実を鑑みない理屈を持ち出して、この法案や政権を批難していますよね。
      もちろん、戦争に巻き込まれる可能性が高まるんじゃないかという反対派の感情的な面は理解できるのですが、具体的な議論になると誇大な解釈を感情を盾にぶつけてくるので呆れてしまいます。
      知識や理解度の水準が高く、政治的思想の偏りが小さい人々の”賛成vs反対”議論を関東のメディアでも催してほしいものです。

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