この記事をどう読むべきか?
というわけで、フクヤマさんは、「リベラル民主主義が歴史の終わり」という自分の「歴史観」を、完全に捨て去ったようです。
だって、「共産党の一党独裁国家中国が、世界秩序のルールを決める時代が来るのは避けられない」と言っている。
この記事からわかるのは、「アメリカにもいろいろな思想がある」ということですね。
・ネオコンは、「中国、ロシアを同時に敵にしても勝てる」と考える。(ちなみにフクヤマさんは、かつてバリバリのネオコンでしたが、イラク戦争に反対で、ネオコンを引退したそうです。)
・リアリストは、「ロシアと組んで中国包囲網を築け!」と考える。
・フクヤマさんは、「中国が覇権国家になるのは不可避。欧米は、中国と和解し、中国が『よりよい覇権国家になれるよう指導するべきだ」と考える。
フクヤマさんの現在の立ち位置について、私は詳しく知りません。ただ、「中国は、アメリカが築いた秩序の中で台頭したいだけで、脅威にはならない」とする「リベラル」な考えは、かなりポピュラーです。(日本でも)
しかし、「AIIBは、アメリカが築いた秩序の外に、新たな秩序を築こうとしているのですよね?」……当然、こういう疑問も出ますし、それで、キッシンジャーやブレジンスキーは、「親中派をやめた」といわれます。
しかし、「親中リベラル」も、「あ~だこ~だ」考えながら進化(?)していくのですね。
フクヤマさんの「中国が覇権国家になるのは不可避。だからアメリカは積極的につきあって、中国をよりよい覇権国家にするのが賢明だ」。
これが、「リベラル」「次の理屈」なのかもしれません。
かつてネオコン「スター理論家」だったフクヤマさんの変節。無視できません。
私は、ミアシャイマーさんやルトワックさん支持者がアメリカ大統領になることを願っています。彼らのいうことにしたがって、アメリカが賢明な政策を行えば、日本も安泰でしょう。
しかし、「アメリカがいつも賢明な政策をするわけではない」ことは、歴史が証明済み。
私たちは、「アメリカ」「中国」の動きを、油断することなく追いつづける必要があるのです。
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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