若手地方議員が思うこと

地方議員の役割といえば、地方議員と市民の仲立ちをする役割と認識されがちであるが、それはどうでしょうか?

私は311東日本大震災を受けて、経営していた会社をなくし、復興期だからこそ若手のちからが、政治の場で必要になると考えて宮城県は石巻市の市議会議員になりました。

もともと、政治には興味があり、政治塾への参加や講演会などの開催を行っていた中での被災です。日頃の言動を実行に移すのは今であり、今やらなければ政治家になろうがなれまいが嘘になると考えて立候補いたしました。

実のところ、地方議員の仕事は年間の議会へ公務として出席し、その場で提出される案件に質問し、議論し、多数決で持って審議するのが仕事です。

国会同様、政党会派ごと、あるいは所属していない方は個人の思想信条で議論するのですが、実際は議論の中で多数決を取ることは少ないのが現状で、議案提出する当局が、地方政治の主体というのが正しいのではないかなと感じています。

さて、いざ政治家になった時、よく言われたのは上記しました、行政と市民の「仲立ち」という言葉です。

市民の要望と、行政の間にはいれということなのですが、私が受けた要望の中には、ご自身でお電話してはどうでしょう? あるいは、それは町内会のお仕事ですのでそちらを通して下さい、とお答えした事案がいっぱいあります。

あるいはさらに、そこに信号が欲しい、優先的に公的施設を使わせて欲しい、生活保護がほしい、など、それは違うんじゃないですか?とお答えする内容まで、さまざまな「仲立ち」を要求されるのが現実の地方政治家です。それが結果として仕事をしたという評価になり、票につながり、長く選挙に勝てる土壌になる。だから「仲立ち」=「御用聞き」に、政治家はなってしまう、ならなければ選挙に勝てないというもの、ある種の実態でもあります。

しかしながら、先に述べたとおり、本当の地方政治家の仕事は、提出された議案に対し、真剣に公という視点から議論し、深め、行政をチェックし、時には応援し、各々の望んでいる社会の実現へ向けて、決定を行うのが政治家ではないでしょうか。

先の通り、市民が「御用聞き」を求めれば求めるほど、尊い地位であった政治家が職業化してしまいます。

世俗化した職業になり、そこで給料がもらえるとすれば、どんどん政治がおろそかになり、多様な市民の顔色を見ながら政治を行う、小粒な政治しか出来ません。

無論、時にはそれが必要とされる場合もあるでしょう、本当にセーフティーネットが必要な人なのか、公に貢献する事業なのか、そういった視点を持っている政治家が、地方においてこそどんどん増えていかないと、日本の政治は進歩しないのだろうなと私は思いますし、これは政治家だけで変えられる価値観ではありません。

投票される有権者の方々も、もう少し政治を見てほしいと感じます。

特に、地元だから、優しい人だからを決め手にせず、その政治家の目的とする社会と、そこへ向かう生き様、すなわち政治信条にこそ、その信任を託して頂ければと思う次第です。

では、私の政治観ですが、石巻市の今後50年の繁栄を約束できる政治を行うこと、これにつきます。

被災した、あの瓦礫の中から立ち上がる我々ですが、実際、震災前はどうだったかといえば、日本の一地方自治体として、出口のない経済的弱体化、少子化、高齢化と、解決しようのない大きな課題の中でもがいていたのが現実です。

しかし、あの震災が起こり、日本中が、世界中が我々を応援してくれています。

その応援は、震災から元に戻すだけでとどまるものであるわけもなく、先に逝ってしまった方々の、あるいは公に忠を尽くした方々の思いを背負って、生き残ったものの責任を果たすことも含まれていると肌で感じます。

つまり、我々は、もとの石巻市以上に、将来の石巻市で明るい豊かな社会を実現していく、そういった重く、そして熱い責任を背負ったわけです。

その先頭の一端に、若輩者ながら立たせて頂くことは本当にありがたく、ブレないことを確実に約束し、その責任を全うすべく、日夜励んでおります。

まだまだ道半ばではありますが、どうぞ暖かく見守り、時には一緒に、よりよい日本国、郷土をつくるべく、機会あらば手を取り合って頂ければと思います。

西部邁

阿部 利基

阿部 利基石巻市議会議員

投稿者プロフィール

1979年1月24日生まれ、石巻西高校を卒業後、石巻ハイタクセンター(株)に入社。専務取締役。東日本大震災で甚大な被害を受けて会社を整理し、2013年石巻市議会議員補欠選挙に立候補、当選。現在2期目。

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