G20共同声明:経常黒字国は財政出動をせよ

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G20の共同声明が2月27日に出された。「金融政策のみでは均衡ある成長につながらない。機動的に財政政策を実施せよ。」というもの。特に経常黒字国に財政出動を求めている。中国は「我が国には行動するための財政的余地がある」と景気対策を検討する考えを表明した。しかし、ドイツは過去のハイパーインフレの経験から、慎重姿勢を崩していない。一方日本は経常黒字国ではあるが、「財政が先進国で最悪の水準」であるとの理由で財政に余裕なしと見なされるのだろうか。

日本の金利は極めて低く、しかも巨額の対外純資産を持つ。日本円は安全資産として世界中で高く評価されている。これらは、財政が厳しくない証拠である。財源は国債発行で何の問題なく確保できる。国債が売り出されば買いが殺到する。これも財政が厳しくない証拠である。財政が厳しければ、国債の金利は高騰するはずだが、実際は10年物ですらマイナス金利だ。

これらの理由から日本の財政は厳しいどころか、余裕たっぷりだ。先日福田昭夫衆議院議員を通じて安倍総理に質問主意書を書いた。デフレで物余りの日本でハイパーインフレは起きるのかと質問したら「ハイパーインフレ-ションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものであり、現在の我が国の経済・財政の状況において発生するとは考えていない。」と回答してきた。

これに対して、次のような追加質問をした。

「1月3日のTBSの時事放談で石破茂地方創生担当大臣は「財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレしかないと強く認識している」と発言された。しかし内閣衆質190第39号ではハイパーインフレは現在の我が国の経済・財政の状況において発生するとは考えていないと述べている。このことは石破大臣がTBSの発言を撤回したと考えてよいか。」

これに対して次の回答があった。

「ご指摘の石破地方創生担当大臣の発言は、財政規律が緩み財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況かにおいて、ハイパーインフレーションが起こることに言及したものである。」

これは苦し紛れの回答だ。現在のように、デフレで物余りの時代、ハイパーインフレになるのか、再度追求したい。ハーパーインフレが起きる恐れが全くないのなら、恐れるものはなにもない。思い切って財政を拡大すべきだ。これは誰でも分かること。食糧不足で米が手に入らなければ栄養失調で死んでしまった時代なら、人はどんなに高くても闇市で米を買うからハイパーインフレになる。今はこんなこと起きないことぐらい誰でも分かるだろう。

今回の答弁書には「政府財政に対する信認の喪失」が生じた場合には、金利が急激に上昇することなどにより、経済・財政・国民生活に重大な影響が及ぶと考えられる。」と書いてあった。金利がどんどん下がり続け10年物の国債ですらマイナス金利になっている時代になんと寝ぼけた答弁書なんだろう。

小野盛司

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