映画化や漫画化、ドラマ化もされた大ヒット小説「永遠の0」は、未だ尽きること無く賛否両論の批評が加えられています。本日はその「永遠の0」の論評でウェブ上で目を引いた記事をまとめてみました。多様な意見を参照することで、見えてくるものもあるかもしれません。特定の誰かの主張を盲目的に受け入れて思考停止してしまうのではなく、自分の頭で考えたいものです。よろしければご覧ください。
目次
『風立ちぬ』と『永遠の0(ゼロ)』について
緊迫した非常時こそ、「お国のため」というスローガンと、自分には親しい家族や恋人や友人がいるという「実存的な事実」とが、矛盾・分裂しやすいのです。両者は順接ではつながりません。国運が急を告げれば告げるほど、国民の私的関係は軽んじられやすくなりますから、それだけ悲運に巻き込まれる質量は増大します。宮部久蔵は、そのことがよくわかっていたからこそ、戦場のさなかで「必ず生き残らなくてはならない」という信念を維持し続けたのでしょう。
URL: 『風立ちぬ』と『永遠の0』について(その3) – 小浜逸郎・ことばの闘い
『永遠の0』の何が問題なのか?
小説にも映画にも「個々の特攻隊員の悲劇」への畏敬の念を「個々ではなく全体への畏敬の念にしていきたい」、あるいは畏敬の念を「公的なものにして欲しい」あるいは「集団で主張することを認めて欲しい」という思想性が見て取れます。こうした主張は、21世紀の日本という国を国際的な孤立へと追いやる危険のある「不必要な行動」です。
URL: 『永遠の0』の何が問題なのか? | 冷泉彰彦 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
どうしても違和感を覚えてしまう『永遠の0』への「戦争賛美」批判 – 寺川薫(編集者)
『永遠の0』をめぐる「論争」については百田氏というキャラクターを抜きに考えられないわけですが、「百田氏憎し」のあまり、少しでも戦争や特攻を肯定するようにとらえることができる部分に過剰に反応しているように思える批判もありました。
URL: どうしても違和感を覚えてしまう『永遠の0』への「戦争賛美」批判 – 寺川薫(編集者)
史上空前のヒットで露わになった『永遠の0』の絶望的なまでの無内容と決定的な破綻:映画批評 by 藤原敏史・監督
「戦争はいけません」とか「命は大事です」という以前の問題で、なぜ主人公が死を選ぶという重大過ぎる決断をするのかが、鬱病患者の自殺願望でも想定しないことにはさっぱり分からないどころか、そこに至ることをなにも感じさせない
URL: 史上空前のヒットで露わになった『永遠の0』の絶望的なまでの無内容と決定的な破綻:映画批評 by 藤原敏史・監督 | 日仏共同テレビ局フランス10
藤井聡『戦う以前にウソを見抜け』のウソを見抜け ―『男たちの大和』と『永遠の0』を擁護する―
『永遠の0』では、妻子のために生を願いながらも、主人公である宮部久蔵が最期には特攻を選んだことがこの作品の妙味なわけです。最後まで生き残って妻子と再会していたら、ここまでの傑作にはなっていないはずです。そこの謎に触れた者は、私的に見えたものが公的なものに基づいていたことに気づくはずです
URL: 藤井聡『戦う以前にウソを見抜け』のウソを見抜け ―『男たちの大和』と『永遠の0』を擁護する― | ASREAD
【藤井聡】永遠に「ゼロ」?
この映画,さすが『探偵ナイトスクープ』の放送作家の作品ということもあり,部分部分には,私たちをうならせる「小ネタ」が満載です(ちなみに,当方が一番好きだった探偵は,言わずと知れた小枝師匠です 笑).この映画のオープニングと繋がるラストシーンも含め,その数々の「感動シーン」のツボの押さえ所故に大ヒットとなるのも,よく理解できる作品でした.
URL: 【藤井聡】永遠に「ゼロ」? | 三橋貴明の「新」日本経済新聞
「永遠の0」にとんでもない難癖をつけてしまった京都大学大学院教授
復員軍人と戦争未亡人の再婚は現実にいくらでもあった事例です。支援することから情が生まれた事例もいくつもあったでしょう。確かに、純愛を貫いて再婚しなかった女性の高潔さは賞賛に値します。しかし、それが再婚した者たちを否定して良い理由にはなりえません。
URL: 「永遠の0」にとんでもない難癖をつけてしまった京都大学大学院教授 | ASREAD
フィリピン人からみた「永遠の0」
「永遠の0」は、「カミカゼも人間だった、しかも勇敢に戦ったのだ」と思わせてくれた
URL: フィリピン人からみた「永遠の0」 | ASREAD
秀逸な『永遠の0』論のご紹介
『永遠の0』という作品については、どのように評価するかによって、その人の思想的なあり方が否応もなくあらわになってしまうように思われます。
『永遠のゼロ』を私はこう見る
宮部久蔵という一つの身体は、公共性と個体生命と友情という三重の人倫性を一気に背負うことになります。それらのどれか一つを「選択」して貫くということが到底かなわない状況の下で。
他にも議論に深みが出るような論評があれば、お問い合わせフォームより情報をお待ちしております!もちろん、あなたご自身の寄稿も歓迎します。
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