積極財政こそが成長戦略
- 2014/6/4
- 経済
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緊縮財政こそが投資意欲低下の真因
では、何が企業の国内投資意欲低下をもたらしたのでしょうか。それは、名目ゼロ成長に他なりません。
冒頭で述べたように、
名目GDP+補助金=雇用者報酬+営業余剰+固定資本減耗+間接税
(雇用者報酬・営業余剰・固定資本減耗はそれぞれ、給与所得・営業利益・減価償却費にほぼ相当します)
というのがマクロ経済の恒等式です。つまり、名目GDPという国内所得のパイが拡大しなければ、企業にとっても利益成長の機会を見出すのが困難になるのは自明です。
実際、図3に示すように、製造業の国内生産能力は、名目GDPと同年の1997年にピークアウトしています。他方で、近年ではそれと裏腹に対外直接投資が拡大しています。
そして、需要項目の一部である「投資」の意欲が減退すると共にデフレ不況に陥り、国際競争力も徐々に低下している、というのが日本の置かれた現状です。
【図3:製造業生産能力と対外直接投資の推移(1980年~)】
こうした中で特に大きな打撃をこうむった産業の1つが、かつては輸送用機器産業(自動車メーカー等)と共に輸出の稼ぎ頭だった電機産業で、デフレ不況後には、ITバブル等の一時期を除けば設備投資が急減しています。これは、それまで成長産業として活発な投資によって積み上げてきた生産設備が、利益成長期待が低下して却って不良資産となり、新規投資の足かせとなったことが原因と考えられます(図4)。
【図4:電機産業および輸送用機器産業の設備投資額推移】
その結果、いまや国内電機産業の設備投資額合計が、一企業である韓国のサムソン電子の半導体分野への投資額すら下回る状況です(表1)。これでは国際競争力を保てるはずもなく、貿易収支が大幅に落ち込むのも当然でしょう(表2)。
【表1:電機産業における設備投資額(億円)】
【表2:ゼロ成長期の貿易収支変遷(1997年⇒2013年、兆円)】
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