私は思わず口走ってしまいました。大臣秘書官はなにをしていたのか! 自衛隊制服組の副官は車に同乗していたのか!
防衛大臣の車に緊急事態に指揮を可能とするような通信機能が備わっているとは、寡聞にして聞いたことはありません。ご存じの通り、携帯電話は使えない状態でした。かろうじてツイッターは通じましたが、北澤大臣はツイッターで指揮を執ったというのでしょうか。
かりにツイッターで防衛省の中央指揮所に連絡をつけることができたとしても、限られた文字数でなにが可能だったのでしょうか。それに、尾籠な話ながら、トイレはどうしたのか…。
そして、それよりもなによりも大臣秘書官や副官が大臣を防衛省なり首相官邸に急いで移動させる手立てを講じなかったことが不思議でなりません。
ゆっくり歩いても20分か30分以内に到着する距離です。陸上自衛隊のヘリを木更津か立川から呼び、ホイストで大臣をつり上げることも可能だったはずです。
この点についての検証が防衛省内で行われたとは、いまだに聞いていません。
当時の秘書官や副官を叱責したり処罰する必要はないでしょうが、防衛省の危機管理体制の完成度を高めるために、手を緩めることのない厳格な聞き取りは行うべきだと思います。
上記の点については、今後、中谷大臣とお会いしたとき、ぜひ聞いてみたいと思っています。陸上自衛隊のレンジャー課程を修了している中谷さんなら、同じ状況に置かれて、通信手段がなかったら、走ってでも移動するとは思いますが。
『NEWSを疑え!』第422号より一部抜粋
著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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