【書評】自称「ツイてない男」が1兆円企業・ニトリを作るまで

ニトリの1号店が開業したのは1967年(昭和42年)。当時は極度のあがり症でうまく接客ができない。ところが嫁入りした家内の百百代が販売上手で、私は仕入れや物流などの仕事に専念できた。もし私が販売上手だったら、街の人気店で終わっていたかもしれない。

「短所あるを喜び、長所なきを悲しめ」は私の好きな言葉だ

ヤミ米の配達には毎日かり出される。冬のある日、配達先で震えていると、玄関を後にした直後、母からなぐられた。「相手先の家ではきちんと挨拶して、にこにこしていろ。震えている姿なんて相手が不愉快なだけだ」と。確かににこにこしていると、「僕、かわいそうね」と言われ、リンゴやミカンをもらえる。リンゴなんか初めて食べた。うれしくて芯まで食べたものだ。以来、一歩家を出たらとにかくにこにこするようになった

父はあまり成績のことを言わなかった。「おまえは頭の悪い人間が結婚して生まれた子だ。だから勉強ができないのは当たり前だ」というのが理由だ。もっとも後がある。「だから人より努力するか、人のやらないことをやるかだ」

「日本でも米国の豊かさを実現したい。自分の力で給料を3倍にすることはできないが、価格を3分の1に下げることはできるかもしれない」。そんな気持ちがふつふつと湧いてきた(中略)帰国し、参加者の中で気のあった仲間と話し合った。「米国風のまねをしてみよう」。顧客のニーズを先取りすることで、競合店にも勝てる。結局、実行に移したのは私だけだった。現実にとらわれず、素直に実行することは私の持ち味だ

大事な交渉は売り上げやもうけの話ばかりではダメ。「人のため、世のため」というのが気に入られたようだ。長男の地主が納得して、兄弟を説得してくれた。もっとも坪35万円だった。相場より15~20万円ぐらい高い。土地代は当時の似鳥家具の年間売上高の半分近くに達するが、採算のことなんか、何も考えなかった。「絶対に当たる」という勘だけが頼りだった

現在のニトリの店舗の平均年齢は6歳以下に保っている。一度オープンした店でも出店先の町は5年、10年もたてば、人口や社会インフラなども変わってくる。このため顧客が集まりやすい場所に移転するなど、リセットする。ニトリが成長しているのは店舗の若さを保っているためだ

現場への配置転換である「配転教育」はまさにニトリの真骨頂だ。ニトリには本部に5年いたら役員でも一度は現場担当をさせるという決まりがある。5年たつと世の中はがらりと変わる。やはり小売業はお客様の声をじかに聞いていないと、感覚がずれていく

いやはや、最近読んだ中でもイチオシの与太話です。

赤ペンチェックでも引用したように、経営ノウハウとしても興味深い内容がたくさん詰まっており、経営者ならぜひ読みたい一冊。

ひさびさに「買い」の経営者の自伝です。

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西部邁

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