思想遊戯(8)- パンドラ考(Ⅲ) 峰琢磨の視点

第四項

 智樹からメンバーが5名集まったと聞かされたのは、それから数日後だった。俺は書類をまとめて、智樹と一緒に連合会へ出しにいった。ちなみに、幹事長は智樹、副幹事長は上条さん、それで、なぜか会計は俺がやることになってしまった。まあ、このメンバー構成ならしょうがないか…。とりあえず、いろいろと質問されて大変だったが、仮登録は認められた。目的だった空き教室の使用も、ひとまずは認められた。
 教室を予約し、いよいよ“思想遊戯同好会”の顔合わせだ。そう、実は俺は、智樹以外のメンバーとまだ顔合わせしていなかったのだ。今日、5名のメンバーが集まって、新しいサークルの門出になるってわけ。
 本日最後の講義を受けた後、智樹と一緒に借りた教室へ向かう。俺と智樹は、教室の黒板に落書きしたりしながら、他のメンバーを待っていた。正直なところ、けっこうドキドキだ。智樹は、どんな人を集めたのだろう?
 しばらくして、一人目がやってきた。見覚えがある。ショートカットで可愛らしい感じの、智樹とたまに話したりしている女性だ。
祈「あの、こんにちは。水沢祈です。」
 智樹は、手を挙げて水沢さんを迎える。
智樹「こいつは、峰琢磨。同じ学部の友達。」
琢磨「あっ、えっと、峰琢磨です。よろしくお願いします。」
 まさかこんな可愛い女性が来るとは思っていなかったので、俺はしどろもどろになって挨拶する。まったく、恰好悪いぜ…。
祈「こちらこそ、よろしくです。」
琢磨「えっと、水沢さんは、どうしてこのサークルに?」
祈「智樹くんに誘われたので、それで。」
 何? 智樹くんだと? 何で名前呼びなんだ? 俺は思わず智樹を見てしまう。智樹は、なんかすっとぼけた表情をしている。こいつ、上条さん狙いじゃないのかよ…?
祈「えっと、峰くんは、どうしてこのサークルに?」
琢磨「えっと、俺も智樹に誘われました。ほとんど、強引に。」
 そう言うと、水沢さんは微笑んだ。本当に可愛らしい人だなぁ。
祈「私も、智樹くんに強引に誘われてしまったのです。」
智樹「お前らなぁ、同学年なんだから、敬語じゃなくていいよ。」
 智樹が横からチャチャを入れる。そうして、少し話をしていると、ドアが開いて二人の女性が入ってきた。
一葉「こんにちは。」
 入ってきたのは、噂の上条さんと、もう一人もまた女性だ。智樹…、お前はもしかして、ハーレムでも作るつもりなのか?
一葉「こんにちは。上条一葉です。こっちは、ちーちゃんです。」
千里「ちーちゃん言うな! えっと、高木千里です。はじめまして。」
 上条さんと高木さんが自己紹介すると、智樹も自己紹介を返す。
智樹「はじめまして。佳山智樹と申します。高木さん、はじめまして。参加していただき、ありがとうございます。」
 なんだ。上条さんの知り合いなのか。
琢磨「あっ、えと、峰琢磨です。智樹と同じ学科で一年です。どうぞよろしくお願いします。」
祈「水沢祈です。よろしくお願いします。」
 俺は正直、ビックリしていた。すごい…。上条さんは遠くから見たことがあったけれど、近くでみると尋常じゃない。さらに、高木さんも素晴らしい。スラッとしている眼鏡美人だ。これは、女性目当ての野郎どもが集まってくるんじゃないか? 俺はちょっと不安になった。
智樹「まあ、今日はサークル発足の顔合わせということで。幹事長は僕、佳山智樹が、そして副幹事長は上条一葉さんにお願いします。会計は峰琢磨が担当です。水沢と高木さんは、無理にお願いして参加してもらっているので、役職とか気にせず、気が向いたときに参加していただけると助かります。」
 そう言って、智樹が場を取り仕切っていく。おいおい、俺も無理矢理参加組の一員だぜと思ったけど、まあ黙っておこう。
 とにもかくにも、こうしてサークル“思想遊戯同好会”は発足したのだ。この先どうなるか、それは、この先になってみないと分からない。大学の仮サークルということで、楽しんだもの勝ちってところだな。

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西部邁

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