戦う国家公務員・国公労連 『ハケン女性をオルグせよ!』

 彼女たちの背中を押した背景は、東日本大震災、特定秘密保護法案、そして戦争法案の可決だ。
 高学歴系や子供を持つ職員は正規職員でないだけに、政権に対するロイヤルティ(忠誠)は低い。もっと言えば、非常勤職員は基本的に三年契約で延長はないのだが、実はその後、また別の省庁からお声が掛かり(仕事で他省の官僚と会う機会も多いため)、再度派遣されていくということがもともとあった。

 そのため、派遣と言えど意外と長期間、霞ヶ関で働いている職員は増えてきている。ここに、組合員増加の足掛かりができる。
 
 国公労連のホームページで必見なのは「まもろう憲法——公務員を再び戦争の奉仕者にさせない」という、冒頭でも一部紹介した十分間の動画だろう。

「戦争法案の廃案っ!」

「安倍政権を退陣に追い込むことは可能です!」

 クリックすると、冒頭から小田川義和元国公労連議長の絶叫シーン。続いて、『永続敗戦論』で石橋湛山賞などを受賞した京都精華大学専任講師の白井聡氏が登場。「自民党はCIAから資金を受けてできた政党だ!」と陶酔した様子でアジる。

 さらには若者たちが太鼓を使って、「安倍は、やめろ! 安倍は、やめろ!」と、カラオケでも歌っているかのように叫ぶ。その横には、SEALDsの奥田愛基氏の姿も。

「憲法守る戦いに全力!」

 
 周囲の女の子たちも笑顔で、「やめろっ、やめろっ!」とコールを響かせる。妙に外見のかわいい子が多いのが目につく。
「地味めだけどどこか華のある、政治意識の高い女子たち」に憧れをもって話しているうちに、共産党の思想に共鳴するパターンもあるだろう。

 動画の最後には、件の鎌田一書記長が登場。事務所(?)のロッカーの前に立ち、視聴者に訴える。

「戦争をする国になれば、戦時中のように公務員が戦争に協力させられることは明らかであります」
「国公労連は、公務員を再び戦争の奉仕者にはさせない。そのためにも、安倍政権の暴走を止め、憲法を守る戦いに全力を挙げます!」 表向きは「質素で和やかな省庁勤務の公務員」であったとしても、組織としてはさすが共産党といった激しい闘争本能を隠し持っていることを忘れてはならない。

630_150この記事は月刊Hanadaの弊社サイト限定記事です。他の記事も読むにはコチラ

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西部邁

横田由美子

投稿者プロフィール

埼玉県生まれ。
青山学院大学卒業週刊誌、月刊誌などを中心に、主に政治、官僚、ビジネス、女性をテーマに記事を執筆している。
近著に『なぜ名門女子校の卒業生は、「ひと味」違うのか!』(PHP研究所)、『官僚村生活白書』(新潮社)、『政治家・官僚の名門高校人脈 (光文社新書)』(光文社新書)」

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