視聴者の六割が支持
これに驚かないなら、靖国参拝など最初からどうでもいいと考えている人であろう。萩生田氏は、靖国参拝は首相にとって必ずしも最優先課題ではないと語っているのである。
首相が首相として初めて靖国参拝を果たし、「御英霊に対して、哀悼の誠を捧げるとともに尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました」と晴れやかに語ったとき、どれほど多くの国民が勇気づけられたか分からない。私も、胸の震えを抑えられなかったことを覚えている。
その直後に出演したテレビ朝日の「朝まで生テレビ」では、十二、三人もいたパネリストのなかで公然と参拝を支持したのは私一人だったが、放送の終わりの視聴者アンケートでは六割を超える支持があった。中国や韓国はもちろん、日本メディアがごく一部を除いてこぞって非難した首相の靖国参拝を、国民は支持していたのである。
国のために命を捧げた死者の慰霊と顕彰は、どの国でも国家のリーダーの崇高な責務である。ところが日本では、死者を顕彰する代表的な施設である靖国神社に首相が参拝しなくなって久しかった。
日本は侵略国家、との中国や韓国の言いがかりに屈した結果である。他国の顔色を窺って慰霊すらできない日本に、国民はうんざりしていたのである。
したがって、安倍氏が「日本を取り戻す」と語って再び自民党総裁に返り咲いたとき、多くの国民が期待したのは靖国参拝であり、村山談話や河野談話に盛られた自虐史観の払拭であり、憲法改正だった。つまり、第一次安倍政権で挫折した「戦後体制からの脱却」を今度こそ果たしてもらいたいというのが、国民の願いだった。
心ある国民の願いは一つ
だが、首相は就任一年後に参拝したあと、参拝をしていない。そしていまになって聞こえてきたのが、側近の靖国参拝を他の様々な問題と相対化するような発言である。
憲法改正についても、首相は「匍匐前進」と語っているという。
強い反対を押し切って安保法制を成し遂げた首相が、参院選に向けて国民の目先を変えたいと考えているのは分からないわけではない。
第三次安倍改造内閣の発足にあたって、経済優先の政権運営を行うと語ったのは決して間違いではないと思う。だが、だからといって国家の基本問題である靖国参拝や憲法改正などを脇に追いやるような姿勢でいいのだろうか。「第一次安倍政権で靖国神社に参拝できなかったのは痛恨の極み」と語った首相はどこに行ったのだろうか。
三年前、安倍総裁が誕生した自民党総裁選、政権奪還がなった総選挙で、安倍氏を応援してツイッターデモを何度もやった。一時に多数の人が安倍氏応援の書き込みをすることで、ネット上のトレンドをつくり出す試みである。
あるとき、安倍支持者の主婦から、安倍さんは本当に靖国参拝をしてくれるだろうかと質問を受けた。
私は「本人に訊ねてみてはいかがですか」と答えて、遊説先の宣伝カーの下で演説が終わるのを待つようにアドバイスした。数日して、その主婦から連絡があった。
「宣伝カーの下で待っていたら安倍さんがやってきて、握手をしてくれたのですかさず訊ねました。安倍さんは『必ず行きますよ』って」
安倍首相の靖国参拝は、国民との誓約である。中国、韓国の言いがかりにケリをつけて日本の誇りを取り戻すためにも、首相は恐れず、靖国参拝を続けてもらいたい。
この記事は月刊WiLL 2016年2月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ
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コメント
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山際澄夫 様
台湾の女性と靖国神社へ昇殿参拝されたとのこと、そしてこの女性がおっしゃていることに本当にそうだと膝を打ちました。日本は中韓に対する配慮を、どれだけ台湾にしてきたのでしょうか。忸怩たる思いです。
靖国への昇殿参拝を誘う等、台湾の方々と親愛のこもったお付き合いをすることが真の国際親善であり、ひいては日本と台湾の安全保障につながるのではないかと思います。
山際様の記事が多くのメディアで多くの日本人の目に触れることを祈っています。
栃木県宇都宮市
坂田 卓(日本国籍)