アベノミクス、初心に戻れ

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失われた20年と言われる日本の経済低迷が続いている。20年近く、デフレから脱却できない。それは誤った経済政策が続いてきたからであり、一部の識者の誤った経済の考えが政治家を縛っていたからに他ならない。いつも金科玉条のごとく守ろうとしているのが財政規律だ。財政規律を守らないと、国債は暴落し、円の信認は失われ、ハイパーインフレになるそうだ。これほどインフレを嫌った結果、20年近くデフレを続けることになり経済を衰退させてしまったのだから、これは笑い話にしかならない。

2015年12月1日の朝日新聞にアベノミクスについての記事があった。「8月30日。民間団体「日本経済復活の会」の定例会に出た安倍はこう語った。「15兆円から10兆円、新たにお札を刷ってもらう。これによって間違いなく、円安そしてインフレに誘導される」・・・復興財源は増税でなく国が借金して日銀に肩代わりさせる。・・・後のアベノミクス「第一の矢」の土台となる考えが形作られていた。」

これは日本経済復活の会が安倍さんを講師として招き、「(1)もう一度首相になったらどうか。(2)日本経済復活の会のためにお金を刷ったらどうか。」と説得した時であった。この前の2011年4月25日に、筆者は西岡参議院議長と参議院議長公邸で面会し日本経済を復活させる方法に関して長時間話し合った。筆者は「増税に頼らず日銀に国債を買わせることにより復興財源にすべきだ」と言った。西岡氏はそれに協力したいと言い、5人または7人の本当に「やる気のある」国会議員をこの参議院議長公邸に来させて会議を開くことを提案した。筆者は協力が得られそうで、しかも主張が我々に近い国会議員として西岡武夫、山本幸三、小泉俊明、田村憲久、亀井亜紀子、金子洋一、松原仁の7名を集め5月2日に戦略会議を開いた。これが「増税によらない復興財源を求める会」のきっかけになった。

安倍晋三をこの会の会長として、山本幸三が中心となり署名を集め、230名以上の国会議員が署名した。声明文の最初の原稿は筆者が作り、その後修正が加えられた。残念ながら、復興増税は行われた。しかし、安倍さんはこれをヒントに通貨発行で景気回復が可能であることを知る。彼のその後の発言は「1万円1枚が20円で印刷出来るので、9980円が利益となって、政府に納付される。輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう。建設国債は日銀に全部買ってもらう。」といったものだった。

この単純明快な論理を押し通していたら、日本経済は短期間で完全復活できただろう。しかし、前政権が決めた消費増税の実行により、経済は大きなダメージを受けた。デフレから脱却していないのに、なぜ消費増税をするのか。財政再建を急ぐのでなく、しっかりと景気が回復するまで、ひたすら景気刺激策を続けるべきだった。経済が安定的な成長軌道に乗れば、財政再建も同時に達成されたのだが。

安倍さんに言いたい。アベノミクスの初心に戻って欲しい。輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらうのであれば、増税しなくてもよいではないか。庶民の懐を暖めれば消費も伸び、経済も成長し、それに対応するために企業も設備投資をする。これぞ、経済の好循環だ。

小野盛司

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