大阪維新の会の申し立てと、藤井聡氏のTV番組出演見合わせ
10月17日、毎日新聞が、大阪維新の会の申し立てにより京都大学教授で内閣参与の藤井聡氏の出演見合わせを決定したと報じました。
<朝日放送>藤井聡教授の出演を当面見合わせ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151017-00000052-mai-soci
維新サイドは、藤井氏の出演は政治的な公平性を求める放送法に反するとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てたそうです。
放送法上の政治的公平とは?
藤井聡氏が行ったのは『おはようABCコール』という番組の大阪W選挙の特集で使われたパネルの内容の変更要請です。藤井氏はこのパネルの内容変更が選挙において一方の候補者を有利にするためではなく、より公平かつ正確な報道を行うために内容変更の要請を行ったことを自身のホームページにて解説しています。
BPOに申し立てられた「私信」は政治的に公正公平なものです。理由を説明します。
http://satoshi-fujii.com/151018/
しかし、ここでそもそも放送法上の政治的公平とは何か?という問題について改めて考えてみる必要があります。上記のように藤井氏は、今回の番組で使用したパネルの内容変更は、放送内容の公平性を担保し、正確を期すために行ったと説明していますが、私の考えでは、もし仮に、藤井聡氏が一方の候補にある意味で肩入れしてその候補に有利になるような情報を出したとしても、なおそれだけで放送法四条における放送の公平性は損なわれないと思っています。
では、実際に放送上の政治的公平性を定めている放送法四条の内容を見てみましょう。
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html
今回、問題になるのは、放送法四条の二~四の内容です。確かに、放送法四条の二では政治的に公平であることを定めています。しかし、だからといって、即座に「何らかの政治的意図や偏りを持った人間を出演させてはならない」とか「そういった人間に発言させてはならない」ということを意味していません。次に放送法四条の四では「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」とあります。
放送法四条は言論弾圧ではなく、意見の多様性を確保するためにある
つまり、放送法四条における政治的公平とは、特定の政治的意図や信条の持ち主の言論を抑制するためにあるのではなく、むしろ逆に様々な意見や政治的信条の持ち主を出演させ、番組全体としての公平性を担保する目的で作られたものなのです。
このような意味において、仮に藤井聡氏がある種の偏った政治的思想信条の持ち主であっても、それだけを理由に藤井聡氏の番組出演が放送法四条の政治的公平に反すると主張するのは、そもそも放送法四条の政治的公平の考え方に関して根本的に勘違いしていると言わざるを得ません。
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