もう一つの見えない戦争ー間接侵略とはなにかー

間接侵略とはなにか

間接侵略とは正規軍による暴力を行使する侵略以外の手段によって行われる侵略の総称です。いわゆる謀略と呼ばれるものであり、主に諜報機関がスパイなどを用いて行われます。

間接侵略は国際法、外交上の慣習、法律など全て無視して行われます。つまり、諜報機関とは自国の国益のために、外国や外国人を標的にとして、殺傷・贈賄・強要・買収や秘密情報資料の収集などの違法行為や脱法行為を行なう国営暴力団だといえます。

そして、謀略が行われるのはある国の目的を叶えるためですので、必ず黒幕国家が存在します。

元総力戦研究所に所属していた西内 雅氏の著書『間接侵略』(立花書房、1965年)によれば以下が典型的な間接侵略のパターンと言われています。

【宣伝 → 浸透 → 中核付与 → 腐朽 → 反乱 → 反乱承認 → 反乱援助】

例えるなら、左翼思想をもつ大学教師や先輩が新入生をゼミやサークルなどでオルグすることが「宣伝」に当たります。

次に大学で左翼思想に染まった大学生が学校を卒業して社会に出て、一般の企業の職場や、または学校の教師や政治家秘書、役人といった職業に就くことで広く社会に左翼思想家が「浸透」します。

やがて会社や役所で出世をして官公庁や大企業などの組織で意思決定者になる、あるいは政治家になるなど、社会的地位を上げて権力を行使できる国家の中枢に入り込むことを「中核付与」といいます。

中核付与が成功すれば積極的に国家を内部から崩壊させるべく汚職や政治腐敗を行い、国家を腐らせるべく権力を行使します。この「腐朽」が能力不足のために失敗したのが菅直人元首相など先の民主党政権でした。

国家が腐りきったところで武装蜂起を行ないます。戦後の岸信介政権におきた安保闘争などはまさにこの「反乱」の一歩手前という状態だったのです。
その後の池田勇人政権に高度経済成長を達成することにより活動家を職場に戻すことに成功しました。結局、左翼活動よりも儲かる商売があればいつの時代も活動家は儲かる方へ流れるのです。高度経済成長のお陰で現在は反乱から中核付与~腐朽のところまで押し返しているといえます。

ですが現在、沖縄では官憲が平和活動家による違法行為を取り締まらない(つまりは消極的に彼ら協力している)状態が続き、これは反乱の手前といえます。
また、沖縄独立を目論む勢力もいることからも一連の平和活動家の裏には黒幕国家がいると見るべきでしょう。

革命家が武装蜂起したところで黒幕国家が登場します。武装蜂起に対して「反乱承認」を行い、革命運動に介入の口実とします。更に直接介入をする「反乱援助」をすることで革命がなされれば間接侵略は成功です。

最近だと2014年にヤヌコーヴィチ大統領を追放し、親欧米政権のポロシェンコが民主的な手続きを踏まずに大統領となったことを欧米各国が政権の正当性を認め、その後ウクライナに対して援助を行なった事がこれにあたります。
しかし、その直後にウクライナ東部において親ロシア派が独立を宣言するという全く同じことをロシアにやり返されて、今現在もウクライナで押し合いへし合いを続けているという状態です。

これらの間接侵略を行なうメリットは直接的な武力紛争に比べて遥かに安上がりに済み、失敗した時のリスクも格段に少なくなるということです。
そして、間接侵略は平時から常に行われているものなのです。

また、すでにお気づきのことと思いますが、一連の革命運動は黒幕国家から派遣されたスパイが全てを行っているわけではありません。むしろスパイに都合よく利用された人間が黒幕国家の目標を達成していくのです。
そういう意味では、沖縄の平和活動家の多くも現地協力者として利用されているという自覚がない人間が殆どでしょう。
実際にそういった活動家を操る存在こそがスパイなのです。では、スパイとは一体何者なのでしょうか。

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西部邁

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