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筆者はアベノミクスそのものに反対しているわけではない。結果として消費増税がすべてをぶち壊したという主張だ。安倍政権の経済政策によって、倹約志向が強まり消費は落ち込んだ。これが景気回復が遅れている理由だ。一方では中国人による爆買いが続いている。
このことを次のように理解することもできる。
安倍政権は日本人を貧乏にし、中国国民を豊かにした。
日本人にとっては、踏んだり蹴ったりだ。
外国人は免税があり、消費税増税を気にしなくてもいい
消費増税により可処分所得が減らされ、実質所得は減り続けている。円安によって輸入物価が上がり、輸入品が買いにくくなっている。つまり、安倍内閣は日本人を貧乏にした。一方で中国国民にとっては、円安によって日本の物が買いやすくなった。しかも外国人には免税があるので消費税は気にしなくて良い。つまり中国人を豊かにした。
なぜ中国人を優遇し、日本人を貧乏にする政策を行うのか。失われた20年によって、随分日本人は貧乏になった。実際1993年頃は、日本の一人当たりの名目GDPは世界トップレベルにあった。それが相次ぐ経済政策の失敗で、2013年には19位にまで落ちてしまっている。日本人が貧乏になったのだ。安倍内閣の政策は、更に日本人を貧乏にする政策だった。
政府はトリクルダウン説を唱える。金持ちを更に金持ちにすれば、そこからお金がしたたり落ちて貧乏人にまで渡る。本当にそうなっていれば、消費は伸びていなければならないが、そうなっていない。
ところで最近気になるのは山本幸三衆議院議員の発言だ。今年10月から予定されていた消費税率の8%から10%への引き上げを1年半延期させたのは、彼の「アベノミクスを成功させる会」である。
10月1日、山本幸三議員は足元経済について「消費が落ちているために企業の元気が出ない」と述べ、景気・物価の下振れに対応して日銀が10月に追加緩和すべきとの認識を示した。彼は安倍総理の側近であり、安倍総理も山本議員に大きく影響を受けているから、山本議員の発言は市場にも影響を与えている。山本氏は追加緩和だけでなく、早急に景気対策を行うべきだとも語っている。彼は以前は、財政を伴う景気対策は必要がなくて、金融で対応できるという立場だったが、だんだん財政の必要性を感じるようになったのだと思う。そうであれば、是非安倍総理を説得して大規模な景気対策を行って欲しい。
先日トルコのアンカラで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で9月5日に発表されたコミュニケでは「われわれは、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せつつ、経済成長と雇用創出を支えるため、短期的な経済状況を勘案して機動的に財政政策を実施する。」とあり、われわれとは日本も含まれている。内閣府の発表した乗数でも、財政出動によって債務残高の対GDP比は下がることが示されている。このコミュニケに基づき政府は景気対策を決断すべきだ。
世界中見渡しても、強力な景気対策を行って減速する世界経済の牽引役になれる国は見つからない。過剰設備に悩む中国も、過熱を押さえようとしている米国も、赤字財政を極端に嫌うドイツも景気対策をしそうもない。そうであれは、ここは意を決して日本が大規模な景気対策を行い、政界経済の牽引役になるべきではないか。
小野盛司
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