ドクター非モテの非モテ教室(その一)
- 2014/12/23
- 文化
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「ミソジニー」ってナニ?
博士:やあ諸君、初めまして。ワシは非モテ問題について研究しているドクター非モテじゃ。
言っておくがワシ自身がモテないから「ドクター非モテ」なのではないぞ。あくまで「非モテ」男性の抱える問題を研究しているから「ドクター非モテ」なのじゃ。
諸君もこれからワシといっしょに、非モテの勉強をしていこう。
助手:博士博士!
博士:おぉ、キミは助手の非リア郎。どうした、慌てて。
助手:呑気にしてる場合じゃないですよ、博士!
またしても信じられない「男性差別」です!
太宰治賞作家の瀬川深が「オタクは女性差別主義者」であると決めつけて、『オタクたちの「差別はしたいがされたくない」ワガママさ』なんて言っている(http://matome.naver.jp/odai/2140964078552134401)んですよ!!
博士:ふむふむ……まあ怒る気持ちもわからんではないが、ここは相手の言うことも考えてみた方がいいんではないかのう。
助手:な……何言ってるんです博士!? ぼくはですね、こんな「男性差別」発言が許されていること自体が問題だと……。
博士:しかしそう唱える心理の根源に、ミソジナスな要素がないと断言できるじゃろうか?
助手:み……みそじ……なす……?
博士:女性に対する嫌悪のことじゃよ。そうした感情をムツカしい言葉で「ミソジニー」というのじゃ。
助手:え……? でも、ぼくが今話しているのは「オタクは女性差別主義者」という偏見についてで、それを問わずに「女性を憎む心理」について云々されても……。
博士:では聞くが、キミの参加している「男性差別をなくす市民の会」、女性のメンバーはいるのかね?
助手:そ……それは……男性ばかりですが……でも、会の性格上、それは仕方がないんじゃ……?(まあ、気の利いた団体はパンダ役として女性を一人二人入れてるみたいだけど……)
博士:そうした女性を排除し、男性ばかりで集まる傾向をムツカしい言葉で「ホモソーシャル」というのじゃ。
助手:は……はぁ……。
博士:ホモソーシャルとは、ホモフォビア(同性愛嫌悪)とミソジニーを基本的な特徴とする、男性同士の強い連帯関係のことで、それ自体同性愛的なものでありながら、男性同性愛者を排除し、異性愛者同士で閉鎖的な関係を築く傾向にあるのじゃよ。
助手:い……意味がわからないんですが……。
博士:わからないのは、キミが勉強不足だからじゃ。
助手:そ……そんなこと言ったって、女性を排除することとホモを排除することと何の関係があるかわからないし……。
博士:わからないのは、キミが勉強不足だからじゃ。
助手:は……反論は許されないのか……。
でもですね、例えばぼくの参加している「男性差別をなくす市民の会」、別に女性に罵声を浴びせたり、女性専用車両に侵入して暴れたりはしてないですよ?
あくまでフェミニズムに疑問を呈したりしているだけなのに、「女叩きだ」と頭ごなしに否定されて……。
博士:ミソジナスな感情というのは、それを理解するセンスを持った人間が見なければ見抜けぬモノじゃ*。
助手:そ……そんなことを言い出したら、全ては「センスを持っている」と称する人間の胸先三寸じゃないですか……。
博士:わからないのは、キミが勉強不足だからじゃ。全く、キミたちのようなオタクどもはいかんともしがたいな。
助手:だ……だからその決めつけが「オタク差別」なんですって! さっきから聞いていると、むしろ博士の方が女性という「弱者としての立場が確立した者」を盾に取ることで、弱い立場の男性を叩いているじゃないですか!
博士:だ……黙れ! そんな風に言うのも、お前が「ミソジニー」、「ホモソーシャル」といった概念を理解しておらんからじゃっ!!
コメント
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連載始まってたんですね、こちらでは初めてコメントします。
ここ最近はツイッターなどを見ていると、以前に比べて随分幅広い層からフェミニズムへの批判が寄せられるようになった印象があります。
しかしフェミニズム側の認識はそうではないようで、以前ある人が「最近は非モテ男がマッチョに偽装してフェミを叩くようになった」などと言っているのを見て苦笑してしまいました。
普通に考えて、それはマッチョ層にもフェミニズムの問題点が目につくようになったということだと思うんですが、フェミニズム批判はどうしても「非モテ弱者男性」の仕業ということにしないと都合が悪いのでしょうね。
強者男性ならフェミニズムに寛容、なんておよそあり得ないことだと思うのですが。
伊集院氏がフェミニズムの標的にされない理由は、「非モテ論客」とは思われていないからかな…と漠然と思っているのですが、本当のところはわかりません。次回も楽しみにしています。
おお、コメントありがとうございます!!
>「最近は非モテ男がマッチョに偽装してフェミを叩くようになった」
う~む、何を根拠にそんなことを言ってるんでしょうね。
彼女らは弱者男性を罵倒しつつ、そうした人々の心理に「マチズモ」を見出すのが大好きな気がします。
「仮に弱者でも精神的にはマッチョだから叩いてもいいのだ」というリクツなのか、純粋に「弱者の癖に」と嘲笑したいのか。
>強者男性ならフェミニズムに寛容、なんておよそあり得ないことだと思うのですが。
彼女らの周囲には、「本当に強者であるが故に、その余裕で女性のフェミニズムも調子をあわせて上げる」といった層しかいないでしょうし、むしろ「強者は私たちに寛容だ」と勘違いしてしまっているのかも知れません。
もしよろしければまたコメントください。
>彼女らは弱者男性を罵倒しつつ、そうした人々の心理に「マチズモ」を見出すのが大好きな気がします。
「弱者男性はマチズモを内面化しているから本当の敵である強者男性を叩かずにフェミニズムを叩くのだ」といったものですね。
しかし男なのに弱者を自称している時点でマッチョ規範からは外れていますし、むしろフェミニズムを擁護する男性の側にこそマチズモを見出すことができるように思います。
フェミニズムを擁護する男はしばしば「チンポ騎士団」などと揶揄されたりしますが、これは一見リベラルな態度を取っていながら結局女性を守って格好つけたいだけ、という点を見透かされているからではないかと思います。
そして実はフェミニストもそうした男達に守られたいという願望があり、だからこそ自分達を守ってくれないどころか批判してくる弱者男性が気に食わない、ということもあるのでしょう。
フェミニストも結局マッチョ男が好きなんじゃないか、などと言われることがありますが(実際には内面がマッチョで表面的にはリベラルに振舞う男でしょうが)、弱者男性を主なターゲットとしているフェミニスト達の振る舞いがそれを実際に証明してしまっている気がします。
>しかし男なのに弱者を自称している時点でマッチョ規範からは外れていますし、むしろフェミニズムを擁護する男性の側にこそマチズモを見出すことができるように思います。
フェミニズムにとっては「男性は一枚岩で悪者でなければならない」からこそ、「弱者男性」という存在が許せないのでしょうね。
>そして実はフェミニストもそうした男達に守られたいという願望があり、だからこそ自分達を守ってくれないどころか批判してくる弱者男性が気に食わない、ということもあるのでしょう。
恐らくそうだと思います。
二十年ほど前、上野千鶴子師匠などが論壇氏などで盛んに書いていた頃、彼女は「保守オヤジ」「反動オヤジ」といった罵声を好んで使っていました。
これなど男性がまだ権力を持っていた時代の光景だな、との感じがします。
「権力を持ったオヤジに、怪獣ごっこの怪獣役をやってもらっている」ことに、彼女はどこか喜んでいたようにすら、今にしてみれば思えます。
ひるがえって今のフェミニストたちの「弱者男性」への罵声は、本当に冷酷の一言です。