積極財政論の出発点 ー 失われた20年の正体(序)
- 2013/11/18
- 経済
- アベノミクス, リフレ政策, 財政出動
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名目政府支出伸び率が高い国ほど、名目経済成長率も高い
図1は縦軸を名目経済成長率、横軸を名目政府支出(日本は公的企業分も含めた「名目公的支出」)伸び率(いずれも年換算)として、日本を含めた32ヵ国分の実績を赤い点で示したものです。
【図1:名目経済成長率と名目政府支出伸び率(いずれも年換算)の長期的な関係】
この図からは、
「名目政府支出伸び率が高い国ほど、名目経済成長率も高い」
という関係が成り立っているのが、一目でわかります。
それどころか、「名目経済成長率は、名目政府支出伸び率にほぼ等しい」と言っても過言ではないくらい、両者の関係は密接です(「両者が長期的に等しい」という命題の統計的な精度は、何と94%にも達しています)。
このグラフでは、「両者の長期的な関係」を見るために10年以上のデータが取れる国に対象を絞ったり、「変動為替相場制への移行」という国際的な経済構造の大変化が生じて以降の実績を見るために1974年以降のデータを使ったりしていますが、そのような絞り込みをせずにグラフを作っても、出てくる結果は似たようなものです。
コメント
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2014年 7月 31日トラックバック:【島倉原】株価対策にご用心?! | 三橋貴明の「新」日本経済新聞
いつも動画等で島倉様の経済分析や提言について勉強させていただいております。そして、私自身も、日本経済の成長のためには、政府支出の継続的な拡大が必要であるとの見解に至っており、全面的に賛同です。
しかし、一点、気になる島倉様の分析があります。この論でも提示されている経済成長率と政府支出伸び率との相関関係についてです。確かに非常に強い相関があることは明白なのですが、まず高成長率があり税収増となり、その結果政府支出が伸びているとも考えられませんか?どこの国でもそうなのですが、基本は財政均衡主義を採用しているため、税収増ならば政府支出拡大、そして成長率増加の好循環、税収減ならば政府支出縮減、そして成長率鈍化の悪循環というメカニズムになっているかと思います(本来は逆の経済政策が必要なのですが)。
島倉様の論には全く異論はないのですが、そのような反論も可能かと思いコメント入れさせていただきました。
鳥見さん
いつもご覧になっていただき、有難うございます。
ご指摘の反論は当然可能ですが、「政府以外の民間部門(家計および企業)の支出レベルは、金融バブルやその崩壊などの短期的な影響は受けるものの、突き詰めると所得に基づいてほぼ決定される」という、現実からも外れていない世界(主流派経済学が想定しているものではもちろんありません)を前提とすれば、「GDPの水準を決めるのは政府支出の総額である」という結論は、数学的に導き出すことができます(上記前提を「非現実的だ」と言われてしまうと、それ以上の説得は困難ですが)。
ちなみにケインズが提唱した「乗数効果」は、上記「民間部門の支出」を「家計消費」に限定して議論を展開したもの、と捉えることができます。
上記を前提としたマクロ経済モデル(理論)については、改めてきちんとした形でご説明したいと思っております。その際も是非ご覧いただき、コメントをいただければ幸いです。
島倉
島倉様
ご丁寧な説明ありがとうございます。よく分かりました。今後ともよろしくお願いいたします。