群分離・核変換技術を用いる二つの手段
この技術を行使する手段として、高速炉を用いる方法と加速器を用いる方法の二つがあります。
高速炉を用いる方法は現在の原子炉技術および核燃料サイクル技術の延長線上にあるので、開発要素が少ないという利点があります。
これに対して加速器を用いた技術は新たな研究開発課題がありますが、安全性に対する要件は前者ほど難しくはないとされています。
群分離・核変換技術は非現実的な話ではない。
群分離・核変換技術は世間的に認知度が低く、放射性廃棄物の万年問題を百年問題へと変えてしまうという、心理的な衝撃から非現実的な話なのではないかと思われがちです。しかしある程度現実味をおびた話なのです。
日本においての群分離・核変換技術の研究開発は1973年頃には基礎的な面から行われており、2009年に原子力委員会によって今後も着実に実施すべきだとされています。最近でも文科省において「群分離・核変換技術評価作業部会」が開かれるなどして必要な施策への反映が行われています。またこの技術の研究開発は各国および国際機関で鋭意進められており、フランスにおいては群分離・核変換の放射性廃棄物管理への貢献の可能性の観点から議論が進められ、事業化・産業化を見据えた明確な方針が規定されるに至っております。
これらの事実から、群分離・核変換技術は非現実的な話ではないと言えるでしょう。
放射性廃棄物の処理は長期的な視野が必要である
しかしながらこの群分離・核変換技術の実現は2050年頃と見込まれており、すぐに実現するものでもないこともまた事実です。また、2050年頃に実現するかどうかもかなり分からないところではあります。
資本主義のあり方がブレトン・ウッズ体制とワシントン・コンセンサス体制では大きく変わり、企業が短期的な利益を追求しなければならないようになったことなどの理由から、長期的な研究開発や投資を行うことが出来なくなっており、イノベーションが鈍化してきているという主張もあります。また実現まで政府の方針が変わるかもしれませんし、政権が代わり計画が見直される可能性もあります。このように社会や政治の変化を考えると計画通りになるとはなかなか思えないのです。よって、実現は100年後になるかも分かりませんし、もっと先になるかもしれません。
しかしながら、人類は一度原発を稼働させ、既に放射性廃棄物が出てしまっている以上、何らかの解決を図らねばなりません。
よって、たとえ想像することが困難なほど先の話になろうとも、長期的な視野を持ってこの問題の解決に励むことが必要なのではないかと思うのです。
《参考URL》
経済産業省資源エネルギー庁放射性廃棄物のホームページ「なぜ地層処分が最適なのでしょうか」
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/rw/hlw/qa/syo/syo04.html
経済産業省資源エネルギー庁放射性廃棄物のホームページ「処分候補地と地域支援」
<http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/rw/hlw/hlw05.html>
経済産業省資源エネルギー庁平成25年5月「高レベル放射性廃棄物処分について」
<http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denkijigyou/houshasei_haikibutsu/pdf/25_01_s01_00.pdf>
日本原子力研究所大強度陽子加速器施設開発センター 高野秀機「高レベル廃棄物処分としての加速器駆動核変換技術の現状と展望」
<http://www.rist.or.jp/rist/rnews/35/02-18.pdf>
日テレニュース24「処分場候補地選定は政府主導で~石破幹事長」< 2013年11月16日 17:34 >
<http://www.news24.jp/articles/2013/11/16/04240427.html>
参考文献:長﨑晋也・中山真一共編『原子力教科書 放射性廃棄物の工学』(オーム社/出版局、2011年)
中野剛志著『日本防衛論 グローバル・リスクと国民の選択』(角川SSC新書、2013年)
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コメント
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世の中、何でも「難しい問題だよね~」って言っておけば頭がいい様に見られるような風潮がありますが、
原発問題についても、正にそれだと思います。
福島の原発の程度の放射性物質など、健康上何の悪影響も考えられないのに、人々の恐怖心が嘘を呼び、まるでとてつもなく危険なもののように認識されているだけです。
事の真相はごくごくシンプルで、あとは気の持ちよう(風評被害の払拭)だけの問題です。
反原発の人達やマスメディアがどれだけ嘘つきかは、向井さんも読者の皆さんも恐らく皆さんご存知でしょうから、「そもそも本当に危険なのか?」というところから考え直してみてはどうでしょうか。
それこそが、原発問題の唯一の解決方法だと私は思います。