フラッシュバック 90s【Report.26】小選挙区制で崩壊した日本の政治
- 2016/3/1
- 政治, 社会
- 90s, feature3
- 2,466 comments
最近、ニュースを見ると、政治家のスキャンダルがよく報じられています。その内容も、不倫などといった芸能人のようなスキャンダルが目立ちます。
私自身は、政治家や議員になりたいと思ったことはありますが、郵政民営化に伴った解散総選挙と一連のメディアの報道を見て、政治家に対するモチベーションが下がりました。
ですから、「政治家、かくあるべし」などといった高説を述べる権利もありませんし、「だから、今の政治家は」と床屋談義のような愚痴をこぼす気もありません。
いずれにしても、日本の政治が大きく風向きを変えたのは、1996年の小選挙区制度の導入だったといえるでしょう。
All or Nothingの選挙を勝つための組織
ご存知かと思いますが、小選挙区制度というのは、指定された選挙区において当選者は1名のみであり、原則的に「1地区1衆議院議員」となるような制度です。
それまでは、中選挙区制をとっており、今の参議院議員選挙と同じ方式で広域の選挙区から数名の議員が選ばれるといった手法を取っておりました。
小選挙区の特徴を端的に表すと、「All or Nothng」です。
中選挙区であれば、2位や3位でも議員になれましたが、小選挙区にいたってはトップで当選しなければ議員になれません。
では、トップで勝つためにはどうしなければならないか。まず間違いなく、組織の力を借りる必要があります。選挙というのはカネと手間のかかるものです。一個人が、自らの資産やマンパワーを持って対処するには非常に労力がかかります。
思い起こせば、2005年の郵政民営化会議の際、亀井静香の地元に乗り込んだ堀江貴文氏ですら、自民党武部幹事長の応援を受けていました。時代の寵児としてありまる富を持っていた彼ですら、選挙における組織の力を評価していた良い例です。
選挙対策組織としての政党
そもそも論を述べれば、政党というのは政治敵意理念や政策課題を共有した人々の集まりです。その政策理念を実現するために、選挙戦を勝たなければいけないわけです。田中角栄氏はその目的を意図的に逆転させ、「政治は数であり、数は力、力は金だ」として、金権政治を行いました。
政党組織の狙いは選挙において勝利し、議会における多数を維持することにシフトしていくわけです。
政党が選挙対策組織へと変化していく中で、小選挙区制と比例代表制度が取り入れられたら、行くべき道は自ずと明らかなはずでした。
政党の看板が選挙の行く末を占う
話は前後しますが、小選挙区制度において、地域から当選する議員は1人なわけです。
すると、重要になってくるのは、全国的に活動している大政党がその地区において、立候補者を出すのか否か、あるいは誰を候補者として選定するのかということが非常に重要なファクターになってきます。
小沢一郎氏はその構造をついて、日本における二大政党制を仕込み、政権交代を実現させたわけです。ただ、あくまで私のジャレごとですが、「自民党にいても勝ち戦ばかりで面白くない」という軽いノリで自民党を割ってしまうような人で、ある意味選挙フリークな面もあります。
自民党を割って、10年以上かかり、「自民党vs民主党」といった対立軸を演出することで、政権交代を実現させたわけです。ただ、「交代」したことが最も大きな功績というのが何ともいえない皮肉ではありますが。
1
2コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。