食糧自給率の低下って本当に問題ないの?~自給率と食糧安全保障について~
- 2015/4/15
- 政治, 社会
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先日、とある前衆議院議員の先生とお話する機会がありました。その先生は、TPPに賛成しており、その問題について書籍も出版している先生でしたので、TPPに反対している筆者としては、是非TPPの問題について議論したいということで、議論をさせていただきました。
TPPの問題は、投資や金融、製造業、サービス業等々多義にわたりますが、特に問題になった分野の一つが農業問題、食糧問題です。その先生は、日本の農業問題に関して、「TPPに参加して競争力を高めることで、むしろ日本の農業を強くしていくべきだ」と主張されていたのですが、現実には、戦後ほぼ一貫して日本の食糧自給率は関税の引き下げと共に海外からの安価な食料品が国内に入ってくることで、自給率が低下してきたという事実があります。つまり、少なくとも、過去数十年のデータを見る限りでは、関税の引き下げと海外製品との競争激化により、日本の農業は強くなったどころか、ひたすら弱体化してきたというのが実態です(こちらの記事に詳しく解説しています『過保護は大ウソだった 日本の農業が衰退した本当の理由』http://wpb.shueisha.co.jp/2013/08/19/21279/)。
私が、そのような経緯について説明すると、その先生は、「いや、日本の食糧自給率が低く見えるのはカロリーベースの自給率であって、国際基準である生産額ベースの自給率では日本は未だ7割程度の自給率を維持している」とおっしゃっていたのですが、果たして、本当に、日本の食糧自給率は低くないのでしょうか?
まず、第一に確認しておくべきことは、日本の食糧自給率は、カロリーベースでも見ても、生産額ベースで見ても、戦後一貫して低下し続けています。もちろん、この原因の全てが、食料品の関税引き下げの結果であるとは言えないでしょうが、その影響が非常に大きいことは認めざるを得ないでしょう。
(第2節 我が国の食料自給率の動向
http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h24_h/trend/part1/chap2/c2_2_00.html より)
また、大豆や小麦といった穀物を海外からの輸入に依存している日本はカロリーベースの自給率は非常に低いですが、生産額ベースで見ても、イギリスを除けば最低レベルの水準にあり、農水省では、「我が国の食料自給率は、諸外国と比較すると、カロリーベース、生産額ベース共に低い水準。」にあると結論しています。
(現行の食料自給率目標等の検証①
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/H26/pdf/140326_03.pdf)
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2コメント
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初めてコメントさせて頂きます。
私も高木さんの意見に賛成です。
ロシアやイランが経済制裁を耐え抜けたのは、食糧とエネルギーが確保出来ていたからです。
食糧不足だと、国はどうなるか。
北朝鮮のようになることでしょう。
日本は70年前より、更に、他国依存が進み、他国に生殺与奪の権を握られかけています。
せめて、食糧だけでも自給率を上げて、国家国民の安全安心を確保するべきでしょう。