景気回復は株価上昇と同時進行するか?
ここのところ株価(日経平均)は、1万9千円を突破し2万円に迫ろうとしている。景気回復と株価上昇が同時進行ならば喜ばしい。
だが、
株式相場に水を差すつもりなどさらさらないけれど、相変わらず円安の進行に伴う輸出関連の大型株を中心に、外人投資家が売買株の6割、売買代金の7割以上を占めている。そのほかクジラと呼称する公的資金グループが5頭いるとか・・・GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が巨額の資金を株式市場で運用しているらしい。危なっかしい株式運用にならなければよいがと思う。
NHKほかのニュースによれば、
トヨタ自動車の労使交渉が3/15日、ベアを月額4000円とすることで事実上決着したことが大々的に報じられています。他社もトヨタに追随するものと思われ、ニッサンはベア5000円でトヨタを上回る。建設会社の大林組は月額5500円アップなどと報じられている。
春闘集中回答日(3/18) 大手は過去最高の回答相次ぐ・・・。
ちなみにトヨタの従業員数は約7万人であり賞与6か月込みとして年間人件費増を試算してみると、4000円x70000人x18ヵ月=50億4千万円となる。
一方、トヨタの消費税の還付金は、5%消費税で年間約2千億円超であったが、昨年4月からの消費税3%増による年間の還付金の増額分は約1200億円が見込まれる。何のことはない、国(国民)から濡れ手に粟の1200億円増額分を手に入れて、50数億円の持ち出し(人件費増)に過ぎない(苦笑)。
円安による大企業の好業績が巡り巡って中小企業を潤おし、経済全体の好循環を生み、貧しい者にも富が滴り落ちる(トリクルダウン)とする安倍首相のサプライサイドの経済政策は信じるに値しない(中小企業に賃上げの動きが波及するかが問題だが、中小企業の経営は一貫して厳しい状況が続いている)。
新自由主義(市場原理主義)は金儲け第一主義であり、情勢がきびしくなればたちまちコスト削減という名の首切りや非正規雇用がはびこる。
東京新聞(3/17)の記事、“増える非正規 去る団塊 数字で見る春闘”によれば、次のような記載があった。
財務省の法人企業統計によると、2013年度の製造業の人件費は54兆5千億円、ピークだった1994年度の69兆9千億円より約22%減った。
厚労省の国民生活基礎調査によれば、世帯当たりの年収はピーク時(1994年)664.2万円よりも127万円減少して、537.2万円(2012年)になった。127万円は、ピーク時(1994年)の664.2兆円の22%であり、財務省の数字を裏付けるものとなっている。
127万円を総世帯数約5100万世帯に換算すれば、年間約65兆円減少したことになります。極めておおまかな試算ですがが、国民の所得はこの20年間(1994~2014)で約650兆円が失われたことになります。65兆円は消費税約30%に相当します。従って我々は既に30%+8%¬=38%の消費税を負担しているに等しい。
さて本題ですが、
1997年~2014の17年間に約650兆円の財政出動(国債発行額=借金)をしながら、名目GDPはマイナスであった。この間に国の借金は1029.9兆円となり、GDP比210%を超える事態となり、景気をよくすればするほど借金が嵩む事態となっている(本文の最後に記載した「蛇足2」を参照してください)。
1997年以降世界各国が2倍近く(米国は2.1倍)名目GDPを増やしながら、日本だけが一人負けだった。
経済学者を含むエコノミストたちは、知ってか知らずかわからないけれど、誰もこの異常性について語っているのを聞いたことがない。
国(政府)の借金は、1997年当時のGDP比では70%以下で何の問題もなかった。
ところが今や過大な借金を抱え込んでしまったために、まともな経済政策さえもとれなくなっている。
できることなら、97年の春に戻りたいがそれは「夢のまた夢」(苦笑)、このまま手をこまねいていれば、いつかは終着駅(国債の暴落)にたどり着くことは必定、それがいつになるのかは筆者にもわからないけれど・・・心配な方(富裕層)は早めにタックスヘイブンの国へどうぞ(笑)。
まともなやりかたでは、景気を回復させる手段はありません。現在の借金状態を容認したうえでの景気回復策はあり得ないが、借金問題をチャラにしたことを前提として、景気を回復させる方法について述べてみよう。
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