殺人ビデオから見えてくる意外なこと

人を殺したいと思うことは異常な事だろうか。確かに社会通念上、他者を殺害するという行為は到底許されるものではないし、そうした感情を露にする事も基本的には好ましからざるものだ。

死体を観る目的は「殺意の沈静」であった

だが、人並みに人生を送っていれば、一人や二人は殺したいと思う人物が誰しも居るだろう。確かに、自分に関係のない不特定多数の人間を殺したいと思うのは精神的な異常だろう。だが、特定個人への憎悪から来る殺意はむしろ人間として正常と言えるのではないか。当然、私にも殺したい人間が4~5人ほど居た。

勿論、実行に移したことはないし、する気もない。理由はわざわざ説明するまでも無いだろう。実行したいのはやまやまだが、そうもいかないので「豚の様に殺したいリスト」へ不定期に名前を書き連ねる他に無い。だが一方で憎々しい相手が調子にのっている姿をみると、今すぐにでもソイツの首筋を切り裂いて真冬の寒空に深紅のアーチ(笑)を描きたくもなる。

こうした感情は、どう処理すれば良いのだろうか。私の手段は主に2つ。「死体を観る」ことだ。そこでは創作と現実の区別をつけず、とにかく死体を観ることである。

創作でオススメなのは何と言っても「ギニーピッグ」シリーズの第一作目「悪魔の実験」であろう。85年に発売されたこの作品は当時最新鋭の特撮技術を用い、ただ延々と人体切断などの残虐シーンを延々と繰り返しているだけのものだ。基本的に評論に値しない作品ではあるが、当時の大衆の精神文化を窺い知る事は出来るかもしれない。が、しかし私は創作よりも本物の死体を見ることを強くオススメしたい。

本物の死体映像ならば「デスファイル」シリーズがオススメだが、個人的にはとあるサイトをおすすめしたい。

それは「CHARONBOAT」という海外のウェブサイトだ。ここは本物の死体写真や映像を掲載しているサイトで、毎年「検索してはいけない言葉」で上位にランキングされている。なので、当然ながら視聴する事はお勧めしない。(検索もしない方が良い、画像が出てくるから)だが、私はここに定期的にアクセスしている。「観たくないが知りたい」という人達の為に雰囲気を伝えるとするならば、そこはさながら屠殺場の様である。

例えば、誘拐されバラバラに殺害された子供の写真。体の部位ごとに切り分けられ並べられたその光景はまさに屠殺場のそれであったと言えるし、頭部を銃で撃ち抜かれ、脳味噌がうどん玉の様に零れ落ちている中年男性、カニバリスト達に無残に食い散らかされた男女等々、まさに地獄絵図である。しかし、これが世界の現実なのである。「事実は小説よりも奇なり」とは良く言ったもので、創作物からは決して窺い知る事の出来ない人間の闇がそこにはある。

この様な事を書き連ねていると読者諸君から「変質者」「殺人鬼予備軍」と呼ばれそうだが(褒め言葉である)、不思議な事に本物の死体、とりわけ殺害された遺体を見るたびに沈静を越え、「殺人」という行為に嫌悪感を抱くようになった。(もちろん、人も動物も殺したことはない)無差別殺人は勿論のこと、例え殺したいほどの憎悪の対象であっても殺人まではしたくないと思う。

前者は単なるヒューマニズム的なものかもしれないが、後者の場合は単に面倒くさいからだ。

なんで殺したいほど嫌いな奴の為に、労力を使わなければいけないのか。突発的に殺した場合なら兎も角、隠蔽の為に相手の血を全て抜き取り、各種臓物の摘出、さらには大便の処理までしなければいけないなど冗談ではない。その憎悪のエネルギーを別の事に使ったほうがマシだ。

→ 次ページ「現実を知ることに繋がる」を読む

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西部邁

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  1. 2015年 1月 05日
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