フランツ・カフカは妹萌えを100年先取りしている
- 2014/12/22
- 思想, 生活, 社会
- 25 comments
たまには不条理文学などいかがですか?
『変身』は、フランツ・カフカの中編小説。ある朝目覚めると巨大な虫になっていた男と、その家族の顛末を描く物語で、カフカの作品の中ではもっともよく知られている作品です。
1915年の月刊誌『ディ・ヴァイセン・ブレッター』10月号に掲載された小説で、もうすでに発表されてから100年近くが経つのですが、今の若者が読んでも十分に面白い、いや、むしろ、現代人が読むことによって、おそらくは当時の人々とはまた違った面白さを見出すことが出来るような物語なのではないかと思います。
大まかに説明すると、巨大な虫になった息子に対して、家族がだんだんと疎ましくなっていく様を、日常の暮らしを通して描いてゆき、そして衝撃の結末を迎えるという内容なのですが、この巨大な虫になった主人公は、現代社会の文脈から考えると、ニート青年のメタファーのようでもあり、また突然障害を持って働けなくなった成人男性のようでもあり、また介護が必要な老人のようにも思えてきて、読む人によって、様々な読み取り方が出来るような、ある種の解釈の余地を大きく残しています。
冒頭「ある朝グレゴールザムザが不安な夢から目覚めてみると…」主人公のグレゴールザムザは巨大な虫になっているのですが、そこで、面白いのが、主人公は、「なぜ、虫になってしまったのか?!」と疑問に思ったり、嘆いたりする様子がみられず、原因が究明されることもなく、ただ淡々と、そういうものとして物語が続いていきます。主人公が、自分が虫になっていることに気づいたとき、即座に「大変だ、これでは仕事いけない!!」と思って焦りを抱きます。客観的にみると「え!まず最初にそれを気にするの?!」と思うのですが、でも自分の身になって想像してみると案外リアリティーがあるかもしれません。私たちだって、朝起きた時に風邪をひいて熱があった場合、最初に思うのは「今日仕事をどうしよう?」ということを気にしますからね。
「風邪のひくのと、虫になるのじゃ全然違うだろ!!」と思うかもしれませんが、ともあれ、「このままでは会社に行けない!」と思う主人公の家に、会社の支配人がやってきます。それまでは、会社に行けないことで申し訳ないと思うグレゴールザムザですが、支配人がわざわざ家までやってきたことに対しては腹を立て、「一体、なんなんだ?俺は今まで毎日遅刻もせず毎日真面目に仕事していたのに、少し職場に着くのが遅れたくらいで、まるで犯罪者のように、わざわざ家まで来られなきゃいけないのか?!一体、俺をなんだと思っているんだ!!」と憤ります。が、しかし虫になってしまっているので、怒りの声を上げることも出来ません。
その後、虫の姿の主人公が、支配人や家族の前に現れててんやわんやといった展開になるのですが、いったん落ち着いた後は、皆で家族会議を開きます。それまでは、グレゴールザムザ一人で、学校に通う妹と仕事を引退した両親の4人家族を養ってきたのですが、そのグレゴールザムザが虫になってしまったので、両親と、まだ若い娘も働くことになり、そして、虫になった主人公の面倒は妹がみることになります。
ちなみに、最初に虫に変化しても完全に人間の心を持っていたグレゴールザムザでしたが、だんだんと人間の心から虫の心へと変化していきます。最初は、「一体、俺の家族はこれからちゃんとやっていけるんだろうか?」と人間的な視点から様々な心配などをしていたのですが、脚の動かし方が上手になってくると、突然床や壁を這いずり回るのが楽しくてしょうがなくなり、部屋の中を這いずり回ります、特に天井にへばりつくのがお気に入りで、脚から出てくる粘液を使って天井にくっついて逆さまになっているのが時間を忘れるほどの楽しみになります。おまけに、普通のパンやミルクを食べたり飲んだりすると気分が悪くなるほど不味いのですが、家族が残した残飯などはたまらなく美味しく、特に発酵したり腐った食べ物ほど美味しくてたまらなく感じられます、もうここまでくると立派な虫ですね(笑)
善意からの思い込みが、相手を不幸にする。あると思います!
妹が、掃除をしてくれたり食べ物を持って来てくれる時などは、主人公は、妹を怖がらせないようにと寝椅子の下に隠れるのですが、ある日、妹は、兄が部屋中を這い回るのを楽しんでいることに気づきます。そこで、妹は、「兄さんは部屋中を這い回るのが楽しいのね!!それじゃあ部屋中を自由に這い回れるようにこの部屋にある家具を全て倉庫に片付けてしまいましょう!!」と言って部屋からすべての家具を外に出そうとします。「おお!!ありがとう!!確かにこの部屋の家具を全部出してしまえば、僕はもっと自由にこの部屋中を這い回れるよ!!」と主人公は妹に感謝するのですが、ここで妹と母親が言い合いになります。
「なんで、家具を全部出してしまうんだい?」
「なんでって?今の兄さんはこの部屋を這い回ることだけが楽しみなの。せっかくだから、少しでも兄さんが自由に楽しく這い回れるように邪魔な家具を全部外に出してあげたいのよ」
「だけど、これは、兄さんが人間だった時からずっと使ってた家具だからねぇ、その時の思い出まで亡くしてしまうみたいで・・・」
「なに言ってるの?今の兄さんは虫なのだから、もう人間時代の思い出の家具なんてなんの意味もないのよ」
ここで、主人公は、ハッとします。「そうだ、この家具は俺が人間だった時からずっと使ってきた思い出の詰まった家具なのだ!!この家具の大事さを忘れてしまうなんて、俺は身体が虫になったことで心まで虫になってしまったのか?!そうだ!!この家具は俺にとって大事な家具なのだ!!妹よどうかその家具を持っていかないでくれ!!」そう考えなおして妹を引き留めたいと思うのですが、虫になった主人公は声が出せません。
「もし、兄さんが人間に戻ったら、もう一度この部屋に戻せばいいじゃない、とにかく今の兄さんにはこの家具は必要ないのだから持って行ってしまいましょう」
「それもそうだねぇ」
結局、母親も同意して、妹と一緒に家具を外に持っていきます。しかし、実はこの時、妹の本心は別のところにあります。
「この家具を全部持って行ってしまったら、この部屋には、何一つ家具もなく、虫になった兄さんだけがぽつんと存在する薄気味悪い部屋になるわ。そうなったら、母さんも気味悪がって兄さんの面倒も見なくなるでしょうから、これからは私一人だけが虫になった兄さんの世話をするのよ!!」
うーむ、見事なヤンデレですね。しかもヤンデレの妹なんで、妹萌えとヤンデレの合わせ技です。この時点で、すでにヤンデレの片鱗を見せている妹ですが、この後、さらに物語が進んでいくにつれてどんどん精神がおかしくなってきます。
この後、主人公は、何とか少しでも家具を部屋に残してもらうために、母親を引き留めようとするのですが、母親は驚いて絶叫し、母親の叫び声を聞き、駆けつけた父親が投げつけたリンゴが彼の命を奪うこととなります。
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2コメント
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文にまとまりがないので、読んでて分かりにくかったです。そんなんだから倉山スレで馬鹿にされるのですよ。
家族があることは、素晴らしいけれども、こういった現実は至る所であるように思えます。
安易な家族万能論でなく、こういった問題を含めた家族ついての議論を、保守を自称する人には、もっとしてもらいたいなと思います。
二流のソレだな(笑)
中学生の頃に読んだときには全く思いつきもしなかった視点です。もう一度読み返してみたくなりました。
死の五の理屈はいらねえんだよ!
まずは、お前が「変身」しろ!!
話はそれからだ!!!
カツトシの2ちゃんねる専用スレッド見たけど、あまり面白くなかった。こういうスレって本人が登場して色々と盛り上げる努力をするべきだと思う。ってかそうしなくちゃ最終的にカツトシは終わりだ。