キュレーションメディアの問題の本質

「キュレーションメディア死ね!」

この気持ちはそこそこ年季の入ったインターネットユーザーなら全員が持っていると思います。Googleのアルゴリズムをだまくらかし、パクりとコピペで記事を量産、今や検索の1ページ目はクソの吹き溜まりと化しました。

なぜこんなことが起きてしまったのでしょう。
そしてキュレーションメディアの問題の本質はどこにあるのでしょうか。

本稿では憎しみと怒りをテキストバイトに変えて、この問題について考えてみました。

そもそもキュレーションメディアとは何か?

実際のところ、この言葉は明確に定義されていない言葉です。

かつては

・Gunosy
・SmartNews

のように、ユーザーの嗜好にあわせて記事をサジェストするタイプの技術系アプリについて使われていた言葉です。

「キュレーション(転載)」の言葉通り、様々なWEBから記事を引っ張ってきて一覧化し、ユーザーの検索コストを省くというのが価値の中心でした。

しかし、最近、特に2015年くらいから流行し始めた「キュレーションメディア」はこれらとは全く異なる性質をもったメディアです。代表例は

・Naverまとめ
・nanapi
・Mery

のようなサイトで、際立った特徴は「他の記事の一部を転載し、コンテンツを濫造する」という点です。

従来型のキュレーションメディアはあくまでも「記事の一覧」、つまり記事を読めば転載元のサイトにPVが行きましたが、Naverまとめ型の新型キュレーションメディアは自メディア内部でPVを完結させます。

つまり、他のサイトをパクリ、コピペし、コンテンツを大量に濫造する。そして他サイトからPVを盗む。
それが「新型キュレーションメディア」というメディアです。

なぜキュレーションメディアにPVが集まるのか?

前段で
「(新型)キュレーションメディアとはパクリとコピペでコンテンツを大量生産するメディアのことである」
と定義しました。

それではなぜ、そんなパクコピメディアにPVが集まってしまうのでしょう。
キュレーションメディアの記事には、独自性も作家性も新規性もないはずなのに…。

答えは、Googleのアルゴリズムにあります。

SimilarWebなどで調べてみるとわかりますが、ほとんどのキュレーションメディアはPVのほとんどを検索エンジンに頼っています。つまり、キュレーションメディアが検索で評価されやすい構造があるということです。

Googleは「ユーザーの価値を第一に考えている」と繰り返し明言しています。
なぜそんなことが起こってしまうのでしょうか。

これには事情があります。
いや、僕はGoogleの中の人じゃないのであくまで想像なんですが、そう遠くないのではという確信があるので聞いてください。

2010年代前半は、CGMサイトの時代でした。

Facebook、twitter,LinkedInなどのSNS
Yelp、食べログ、価格コムなどのレビューサイト
Youtube、ニコニコ動画などのコンテンツ投稿サイト

「WEB2.0」の時代、ユーザーが各々の情報を持ち寄ることで、巨大な価値のあるCGMメディアを作成することが可能になりました。

そこでGoogleは恐らく「投稿数が多いメディアには価値がある」という検索アルゴリズムを強力に導入したはずなのです。

レビューが10件しかないレビューサイトと、1万件のレビューが投稿されているレビューサイトでは価値が違います。情報が集積されることで価値が生まれるメディアなら「投稿数に価値あり」と判断するのは妥当なことでしょう。

そうです。キュレーションメディアは、Googleのこのアルゴリズムを利用しました(多分)。

→ 次ページ「情報が多いことで価値が生まれるメディア・生まれないメディア」を読む

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西部邁

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コメント

    • ゆら
    • 2016年 7月 14日

    こんにちは。記載を拝見して少し心が救われました。というのも、私とライターさんの二人三脚で手塩にかけて育ててきたサイトが『welq』に抜かれつつあるからです。

    本当に悲しいです。

    コンテンツを盗んでおきながら参考URLも付けず、あたかもオリジナルのように記載している記事がいくつも確認されました。

    誠実に作ってきたのに、いったいどうすればいいのか・・・、収益も安定して、ライターさんにも少しずつ渡せる額が大きくなってきたところなのに、本当、くやしいの一言です。

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