マイナンバーは憲法違反?!~マイナンバーのメリットとデメリットについて~

マイナンバーはどう使われるのか

では、実際にマイナンバーはどう使われるのでしょうか?これも政府の説明ですが、たとえば、退職するときにこの番号を年金事務所に通知したり、国民健康保険に加入する際にもこの番号をもって市役所に行ったり、子育て世帯であれば、児童手当の届け出をする際にこの番号を役所に届けたり、結婚した時には新たな扶養に入ったことを会社に届けたりといったような活用方法があるそうです。このように様々な場面で会社や役所等の届出などの際に活用され、また扶養の届け出を受け取った会社は、源泉徴収や扶養家族の番号を書いて市役所等に提出します。

このようなケースでは番号の通知が個人から会社へ、そして会社から役所へとなされるので、民民間の間で流れて行くということになります。

住基ネットを思い出して下さい

少し分かりにくかったかもしれませんが、マイナンバーの説明はこのくらいにして、次にこの制度の問題点についていくつか解説してみたいと思います。まず、第一にはプライバシーの問題です。

マイナンバーの具体的な問題点について考える上で重要なのは住基ネットです住基ネットは1999年に導入された制度ですが、現在でも活用されており、実はマイナンバーもこの住基ネットのシステムを基礎として取り入れられる制度です。

概要としては

・1999年住民基本台帳法改正で導入
・全国民に11桁の番号(住民票コード)を付与
・本人確認情報(住民票コード、住所、氏名、性別、生年月日、変更履歴)を全国の市町村、都道府県を結ぶコンピュータネットワーク上で共有
・本人確認情報を国の行政機関等が利用
・希望者は住基カードを取得できる
←電子政府の基盤となるシステム

といったものです。マイナンバーは12ケタの番号ですが、実はすでに日本国民は住基ネットで全国民に11桁の番号が付与されていて、今も使われています。

この制度を導入した当初、政府はこのシステムによって夢の電子政府と電子社会が到来すると盛んに喧伝しました。では、現在そのような夢の電子政府や電子社会は実現したのでしょうか?(そもそも、夢の電子政府、電子社会ってなんだ?という疑問もありますが・・・)。

当然ながら、この住基ネットが導入された当時も、今回のマイナンバー同様、様々な問題点が指摘されました。プライバシーの侵害や情報漏えいの問題、さらに膨大なコストとしてシステムの構築に400億円、ランニングコストが年間200億円かかるということも問題になったのですが、今回のマイナンバーでは桁が一つ違っていて、システムの構築だけでもなんと6000億円かかると言われています。これらの問題点から各地で訴訟も起こりました。

政府はこれらの問題に対し、次のような説明を行っています。

第一に情報の限定、まず都道府県、市町村で共有する情報は氏名・住所・性別・生年月日の4情報に限定し、住民票コードとこれらの変更情報のみとなります。また、この番号は利用者の申請によりいつでも変更が可能です。

さらに、民間部門がこれらの情報を利用することは禁止され、公的機関においてもその利用の範囲は法的に制限されています。また、この番号を使って海外の政府とのデータマッチングも禁止されています。これらの措置によって、アメリカにおけるソーシャルセキュリティナンバーのように官民で自由に活用可能な共通番号となることを防止しますと、だから
プライバシーの侵害にはならないというのが政府の説明だったのですし、今の同様の説明を行っています。

さらに、外部からの侵入に関しても対策がなされており、情報の管理はインターネットなどの外部のシステムから遮断されたサーバで管理され、各種サーバ間のやり取りも専用回線で行われるため行政内部の閉鎖的なネットワークなので大丈夫であるためセキュリティにも問題はないと。

それでも違憲判決を出した裁判所もあった

これらの政府の説明からも分かるように、住基ネットは相当にプライバシー保護や外部からの侵入に対して様々な対策がなされていたのですが、それでも大阪公判では違憲判決が下されました(最高裁ではこの判決は覆され、合憲とされています)。

大阪高判 平成18年11月30日
・プライバシーの権利は憲法13条によって保障されている
・「行政機関において、住民個々人の個人情報が住民票コードを付されて集積され、それがデータマッチングや名寄せされ、住民個々人の多くのプライバシー情報が、本人の予期しない時に予期しない範囲で行政機関に保有され、利用される危険が相当あるものと認められる」
→住基ネットはプライバシー権を侵害し、違憲

つまり、法律で規制がされていても、実際の運用にあたっては、本人の予期しないカタチでデータマッチングや個人情報の収集が行われプライバシーが侵害される恐れがあると高裁で判断されたのです。

ですが、この判決は最高裁によって否決されます。

最小1判平成20年3月6日
・本人確認情報は秘匿性の高い情報とは言えない
・住基ネットによる本人確認情報の管理、利用等は、法令の根拠に基づき、住民サービスの向上及び行政事務の効率化という正当な行政目的の範囲内で行われている
・システムの欠陥による漏えいの危険性もない
・民間利用の禁止及び住基法の制限を超えた名寄せ・データマッチングの禁止は前提
→住基ネットは合憲

つまり、住基ネットでは扱う情報もその目的も非常に限定され、さらにセキュリティ対策もしっかりと行っており、民間利用等は禁止されているといった点で合憲であると判断されました。

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西部邁

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  1. 2014-10-15

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