橋下徹・大阪市長が、今月3日、市長辞職と出直し選への出馬を正式に表明しました。今回の出直し選では、各方面から批判の声が上がっています。かつて橋下大阪市長は、大阪府知事時代に、任期途中で知事を辞職し、『市』を解体するものとして『大阪都』に反対する平松元大阪市長に対抗して大阪市長選に出馬しました。そのような経緯を経て今回の任期途中での出直し選の実施、出馬ですから批判の声が上がることも当然であると言えるでしょう。
橋下市長の勘違い
以前から橋下大阪市長の姿勢を厳しく批判していた哲学者の適菜収さんは、今回の出直し選に関し、『おはよう寺ちゃん 活動中』というラジオ番組の中で次のように手厳しく批判をしていました。
適菜収(以下 適菜) 本当に、バカだねぇとしか言いようがないです。(馬鹿というのは)判断が出来ないということですね、真っ当な判断が出来ないということですね人間としての。
寺島尚正(以下 寺島) 橋下さん、出直し選挙何のためにやるかというと、民意を問うためと、民意を問う必要があるとこれを非常に力説しているんですけど、これはどうなんでしょうか?
適菜 要するにですね、政治の基礎の基礎が分かっていないんですね。政治家ってのは、議会で議論するのが仕事なのです。もし、この橋下がやっているようなことがまかり通るんでしたら、最初から住民投票で決めればいいだけの話なんですね。つまり、橋下のやっていることは政治とか議会主義の否定なんですね。要するのアレがやっていることは政治でもなんでもなくてただの詐欺師だと思います。
寺島 おそらく橋下さんはですね、私がやっていることは誰より正しいのだと、今後もこの大阪都構想ってのは一番ベストの選択なんだと、というふうに橋下さんをよくとれば、そういうふうに考えてるのかなと思うんですけど。でも、やっぱり議会制民主主義ってのはそうではないってことですね?
適菜 そうですね。
寺島 他の、意見があって、みんなが正しいと思えばそれは正しい方向にいくだろうけれども。
適菜 そうですね、選ばれた議員が議論を尽くすことが議会の役目でありまして、ワンイシューで選挙によって問うってのは、やっぱり議会のあり方としておかしいんですねかなり。
(出典:『おはよう寺ちゃん 活動中【月曜】2014/02/10』)
橋下大阪市長のやっていることは、選挙民によって選ばれた議員が議論を重ねる事によって政策を決定するという現代の議会制民主主義の否定であります。つまり、「ワンイシュー選挙で民意を問う」ということは、議会での議論というものを飛ばして、選挙民の民意を直接問うということです。
近代社会において、広く誤解されていることの一つに、「議会制民主主義というものは、直接民主制よりも劣っているが、技術的な問題によって直接民主制によって社会を統治することは現実的に不可能であるので、その代替案、妥協案として議会制民主主義という制度を採用している」という認識が存在します。
現在では、特にネット選挙や、ネットを活用した直接投票、その他インターネットを積極的に政治の分野に取り入れていこうと推進している論者のアイディアの多くは基本的にこのような認識に基づいています。
つまり、近代民主主義の発生の段階においては、技術的な問題として一つ一つの個々の政策において国民の意見を集約することが不可能であったために、その妥協案として代議制(間接民主制 議会制民主主義)を取ってきたが、現在のようにインターネットを使用して、簡単に民意を集計することが可能になった現代においては、より直接的に国民の民意を反映できるような政治システムへの改革が望ましいというワケです。
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