未曾有の経営危機。このままマクドナルドは潰れてしまうのか?

どうすればマクドナルドは危機から脱出することができるのか?

恐らくマクドナルドは、今後これまでの延長線上で事業を展開するなら、数年のうちに深刻な危機を迎えることは間違いないでしょう。

というのも、今期は最終利益で380億円の赤字を見込んでいますが、前期末の連結貸借対照表を分析すると、キャッシュはわずか286億円ほどしかありません。

今後も同じ規模で赤字が続くようであれば、現金の持ち出しが相次ぎ、キャッシュが底を付くことさえ考えられない話ではないのです。

この水準では、借入や増資、もしくは資産の売却などで資金を捻出しなければ、今年の末までにはキャッシュがショートする計算です。

私自身は、このような危機的状況から抜け出すために、マクドナルドにとって重要なことは、数年前の絶頂期を目指そうとしないことなのではないかと考えます。

つまり、過去の成功体験を捨て去り、環境変化に応じた経営を心掛けることが危機脱出の鍵を握るというわけです。

原田泳幸氏がマクドナルドの社長を務めていた時代は、デフレの波に乗り、無料のコーヒーキャンペーンや100円マックなど、低価格商品の品揃えを充実させ、ハンバーガー業界のみならず、牛丼業界やファミリーレストラン、コンビニなど異業種から顧客を奪う“全方位戦略”で、成功を収めてきました。

ところが、消費者を取り巻く環境は大きく変わり、安さだけでは顧客の心を引き留めることが難しくなり、デフレ時代にインパクトのあるキャンペーンの実施などで獲得した、多くの“にわか顧客”の心は離れてしまったのです。

このような心の離れてしまった顧客を、再び取り戻すことは難しいことを考えれば、かつて大きな成功を収めた全方位戦略で、規模をどんどん拡大していく方向を目指すのではなく、“にわか顧客”の取り込みを諦めて、どんなことがあっても離れなかったコアなファンだけを対象に、ビジネスを展開していくべきなのです。

マクドナルドの顧客離れは深刻ですが、それでもどんなにマクドナルドが非難されようとも、変わらず利用し続けるコアなファンが、たくさん存在するのも事実です。

今後は、規模は小さくなりますが、このようなファン客を中心にしたビジネスを展開すべきなのです。

ただ、もしマクドナルドが今後縮小均衡を目指すのであれば、損益分岐点売上高が高すぎるという問題に直面することになるでしょう。

日本マクドナルドホールディングスの連結決算では、2013年12月期の売上高が2,600億円で100億円の経常黒字、そして2014年12月期の売上高が2,200億円で80億円の経常赤字ということを踏まえれば、恐らく現状は2,400億円前後が損益分岐点売上高になるはずです。

今後も売上減少が見込まれるのであれば、この損益分岐点をドラスティックに引き下げていかなければならないというわけです。

→ 次ページ「損益分岐点を劇的に引き下げるための鍵になる戦略とは?」を読む

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西部邁

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