戦わずして勝つ。中国の脅威をかわすための「対ロシア戦略」

日本の戦略は「中国と戦争をしないため」にある

「戦略」という言葉は、もともと「戦争に勝つ方法」という意味です。

最近は、戦争以外、たとえば「国家戦略」「企業戦略」「人生戦略」など、いろいろな意味でつかわれています。しかし、オリジナルな意味は「戦争に勝つ方法」。

で、「誰に勝つの?」ということなのですが、上でざっくり見たように、現在日本の深刻な脅威は、「中国一国」である。

つまり「日本の戦略」は、「中国に勝つ方法」と同じ意味である。これ「決めておくこと」は、とても大事です。

戦前、日本は、「仮想敵ナンバー1」を決めていなかった。陸軍は、「ソ連だ!」といい、海軍は、「アメリカだ!」と主張した。これ、国として、どっちか決めておかないとダメでしょう? それが決まらないと、「戦略」がたてられない。

で、結局日本は、「大戦略不在」のまま、アメリカ、イギリス、ソ連、中国4大国と戦うハメになった。こんなもん、勝てっこありません。

もう一つ、「戦略」は「戦争に勝つ方法」ですが、孫子もいっているように、「戦わずして勝つのが上策」なのです。

だから、きっちり戦略をたてて動くことで、「中国との戦争を回避することができる」。

「平和憲法さえあれば戦争にならない」「中国は平和的台頭を宣言しているのだから戦争にならない」と思考を停止させている人たちより、私たちは、真剣に「戦争にならない方法」を考えているといえます。

実際、日本が「中国に勝つ」といっても、日本が中国領を侵略することなどありえません。

ただ、「日本には尖閣ばかりか沖縄の領有権もない」「尖閣だけでなく沖縄も中国領だ」などという、異常な主張をやめてほしいだけなのです。

→ 次ページ「なぜアメリカとの関係強化が「最優先課題」なのか?」を読む

1 2

3

4 5

西部邁

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 2014-8-6

    経済社会学のすゝめ

     はじめまして。今回から寄稿させていただくことになりました青木泰樹です。宜しくお願い致します。  …

おすすめ記事

  1. SPECIAL TRAILERS 佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は…
  2.  経済政策を理解するためには、その土台である経済理論を知る必要があります。需要重視の経済学であるケイ…
  3.  現実にあるものを無いと言ったり、黒を白と言い張る人は世間から疎まれる存在です。しかし、その人に権力…
  4. ※この記事は月刊WiLL 2015年1月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ 新しい「ネ…
  5. 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がアカデミー賞最多の6部門賞を受賞した。 心から祝福したい。…
WordPressテーマ「CORE (tcd027)」

WordPressテーマ「INNOVATE HACK (tcd025)」

LogoMarche

ButtonMarche

イケてるシゴト!?

TCDテーマ一覧

ページ上部へ戻る