大阪維新の会のBPO申し立ての異常性について解説~藤井聡VS橋下徹~

ココがヘンだよ維新の会BPO申し立て事件

以前書いた記事(『大阪維新の会の言論弾圧問題~藤井聡VS橋下徹 第二ラウンド開戦か?!~』 http://asread.info/archives/2589)では放送法四条の基本的な考え方を中心に、藤井聡氏と、大阪維新の会のBPO申し立ての事件がどれだけおかしな問題であるかについて解説しました。今回は、この問題に関して、「藤井が悪い!!」と言っている方のコメントをいくつか取り上げてそれがどれだけ無理筋であるかについて解説します。

あのメール内容はアウトだろ

今回、大阪維新の会公認で市長選に立候補している吉村洋文氏は、維新の会が公開した藤井聡氏の私信とされるメールをみて、「あのメール内容はアウトだろ」と発言していたそうですが、基本的には私信に何を書こうと、それ自体が犯罪的な内容でなければ問題はありません。問題なのは、一部変更されたとされる番組の内容が明らかに公平性を欠き、一方の候補者を意図的に有利にするような内容や意図を持っていた場合に限られるでしょう。そのようなことが行われない限りは、「俺は、番組を利用して維新の会をボロクソに貶して、自民の候補者を有利にしてやるぜ!!」と言ったところで基本的には問題はありません。

特に、以前の記事でも解説したように、そもそも放送法四条における政治的公平とは、すべての出演者の個人的な主張や意図について一つ一つ厳密な公平中立性を求めるものではなく、番組全体、もしくは番組の編成も含めた放送そのものの全体的な観点から公平性を担保させるという性質のもので、藤井聡氏一個人の見解とは基本的になんの関係もありません(さらに、後に説明するように、実際の番組も維新サイドと自民サイドの主張を平等に取り上げる内容になっており、どう見ても変更しているようには思えません)。

また、普通に考えればわかるように、藤井聡氏が私信において何を発言しようが基本的には問題ない一方で、私的なメールが公権力によってなんらかのカタチで極秘に入手され、無断で公表されることの方が余程問題です。知らないうちにケータイやPCのメールを盗み見られて「おーい、コイツはこんなメールを送っているぞ!!」などと言いふらされることが異常だということは誰でも理解できるでしょう。おまけに、そのメールの内容から何か犯罪行為を犯したワケでもないにも関わらず、「お前は、こんなことを考えているのか?!許さん!!」などとバッシングされるなどと言うのは、常軌を逸しています。おまけに、今回はそのような異常な行為を公的権力を持った政治団体が行っているという点です。仮に、このような行為が許されるとするなら、公権力者はいくらでも反対者を弾圧することが可能になります。ここまでくれば完全に全体主義の一歩手前です。

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西部邁

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