皆様、年越しからお正月はどのようにお過ごしでしょうか?
帰省で実家に帰っている方、長期間の休みを利用して、海外旅行へ出国される方も多いでしょう。
しかし、私なんかは、だいたい年を越してからは近くの神社で初詣に行き、おせちを食べながらTVガイドを片手にチャンネルをザッピングしていました。
テレビ局もそれをわかっていたのでしょう。有名人をそろえて、普通の日では作れないような長時間番組、特に、朝や昼のニュースの時間帯に用意していました。
その中でも、正月特番として、記憶に残っているのが、BIG3のゴルフ大会です。
80年代~90年代の大人のためのお笑いBIG3
御三家、三大~~、など、3つの巨頭を代表させる表現は結構多いです。
これは、日本語だけに限らず、英語においても、BIG3という表現があり、スポーツチームの選手を表現する際などによく用いられています。
私より少し上の年代の人は、BIG3といわれたら、タモリ、ビートたけし、明石家さんまの3名のことを思い出すでしょう。
「ひょうきん族」、「笑っていいとも!」など、それまでの作りこまれたコント番組から、生放送などによるハプニングなどをネタとして、展開を作り上げていく、今につながるバラエティ番組の原型を作り上げてきた大御所たちといえます。
また、これまでのお笑いが子ども向けに作られていたのに対して、BIG3の笑いは明らかに同世代から上、いわゆる「大人」に向けて作られてきました。
特徴的なのは、「ひょうきん族」のエンディングテーマを同時期の歌手、松任谷由美やEPOといった人々の曲をタイアップし、流行を作り出していったという点で、ドリフの純粋なコントとは違ったバラエティ番組が作られていきました。
BIG3の新年会~タモリ・たけし・さんまBIG3 世紀のゴルフマッチ~
そうした、彼らが人気絶頂の際に正月の特番として始まったのが、「タモリ・たけし・さんまBIG3 世紀のゴルフマッチ」でした。1回目の放送は1988年、まさにバブル景気の全盛期といえる時期です。
ここで面白いデータがあります。ゴルフ市場活性化委員会のまとめた、「2015年問題とゴルフ産業の現状」という資料によると、2001年を期に、ゴルフの練習場人口がゴルフコース人口よりも少ない状態に反転しました。
これは、どういうことかというとゴルフコースでデビューするために練習場に通う人々が減っていき、新規のゴルフ人口が望めなくなったことを示しています。そこから、同資料では、2001年を「ゴルフブームの終焉の年」と分析しています。
逆に、それ以前はゴルフブームであり、特に練習場の人口が急増したのは、1987年から1990年頃まで。それ以降、90年代後半まで、練習場の人口は多い状態が続きます。
BIG3のゴルフが始まったのが、1988年。まさに、トレンドに乗った番組企画だったといえるわけです。
ゴルフをエンターテイメントにしてしまう
ゴルフというのは基本的には、紳士のスポーツで非常にレギュレーションも多いです。それこそ、ドレスコードがあり、審判もいないため、プレーヤー同士の自己申告によりスコアがつけられていく。
そこに工夫の余地があったわけですが、BIG3のゴルフではホールごとに特殊なルールを作っていきます。特に有名なのが、「日本語禁止ホール」や「英語禁止ホール」。
ゴルフは基本的に、会話でコミュニケーションをしながらホールを回っていきます。また、海外からの移植レジャーですから、英語と日本語が飛び交うわけで、もちろん、ショットにも集中しなければいけません。
まさに、頭と体を使わせる企画はなかなか面白く、ゴルフというレジャーの未知なる可能性が拓かれた番組だったともいえます。
90年代後半・ゴルフは競技へ
そうして、BIG3がゴルフに関して、新しい境地を拓いていったのですが、一方で、90年代後半には新しいトレンドも生まれてきます。
タイガーウッズがアフリカ系アメリカン人として、ゴルフのメジャーやマスターズで活躍を見せ始め、レジャーとしてのゴルフよりも競技、スポーツとしてのゴルフとして注目が始まります。
それ以降、日本では、宮里藍選手や石川遼選手といったように、ゴルフは習い事やスポーツとして選択され、レジャーやエンターテイメントとして取り上げられることは少なくなっていきました。
極端な話ですが、バブル崩壊や金融危機などのあおりを受け、レジャーで楽しんできたことすら、換金して考えてしまう頭が働きだしてしまったのかもしれません。
いずれにせよ、正月、こたつにもぐりながら、BIG3のゴルフを見ながら時間を過ごしていた時代はもう帰ってこないと思いつつ、師走の準備でもいたしましょう。
※第18回「フラッシュバック 90s【Report.18】成人式を荒らした新成人の心理と今」はコチラ
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